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Gate to another world  作者: 西木 和慶(※元・桜坂 だんご
異世界での日々~another days~
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第十章:紅い……ドレス?

第十章:紅い……ドレス?


「おい、青空。寝てるのか、入るぞ」

ノックの音と、誰かが部屋に踏み入る音で目が覚める。

目を擦ってからジッと見てみると、物の見事にパーティ用のドレスローブで決めているブロウが立っていた。

「あ……シオと電話した後に寝ちゃったのか」

「んー? シオって誰?」

ブロウが空の部屋を見渡しながら聞き覚えのない名前に突っ込む。

「え、ああ。僕の世界の友達のことだよ。さっき、ちょっと連絡がついたんだ」

「ほぇー。まあ、そろそろお楽しみのパーティだな。ほれ、これに着替えろ。そんなカッコで城を挙げてのイベントには行けまいな」

そう言って少し大きめの箱を空に投げる。

おぼろげに手つきでその箱を開けてみると、黒っぽい色のドレスローブが入っていた。

「これって……?」

ローブを箱から出してみると、すぐに自分にぴったりのサイズだとわかった。

「サイズは、シエルのメイドスキルだ……。あいつ、男女構わず3サイズ、身長、体重を見ただけで測定できるらしいぞ?」

「なにそれぇ……。って、そうじゃなくて。こんな立派な服、借りちゃうのはなんか悪いっていうか」

「バカ、それはおまえのだ。姫様がおまえへのささやかな贈り物だと。部屋の外で待ってるから早く着替えてくれ」

「―――――わかりました」

承諾し、上着を脱ぎ始めると、ブロウが黙ってうなずき外へ出る。

「後で、お礼言わなきゃだな……」

多少戸惑いながらも、だいたい支度を済ませて自分も廊下に出る。

なんというか、予想はしていたけれど、ブロウに声をかけたら、冷やかされるように口笛をふかれた。

「な、なんですかっ」

「ほら、誰でもちゃんとした格好すると見え方が違うモンだな~と」

彼の言い方はかなり腹立たしかった。

あやうく「あんたがそれを言いますかっ」なんて言いかけたのを飲み込み、気にしていないように振舞う。

「ねえ、ブロウ。今日はみんなこんなカッコして来るの?」

「あぁ、参加者は全員そのはずだが」

「えぇっ~。ルージュがドレス着てるのって想像できないなー……あだっ」

「悪かったですねっ、ドレス姿を想像すらできないような女で!」


僕の最後の一言について説明しましょう。


ブロウが僕の質問に答えました。


僕が「えぇっ~。ルージュがドレス着てるのって想像できないなー」などと思ったことを素直に言ってしまいました。


後ろから蹴られました。


めちゃめちゃ痛くて「あだっ」と言ってしまいました。


振り向くとドレス姿のルージュ。


ちなみに、ブロウが小声でこう言いました。


『あちゃ~~。やっちゃったな』と。


ミニ回想終わり。

蹴られた痛みに目眩を覚えながらも、どうにかその場に立ち上がる。

虚ろな目でルージュを見ると、予想通り真っ赤なドレスを着ていた。

その姿は(意外と)キレイだった。訓練で鍛え上げられた体には、無駄な肉など皆無だ。また、髪の色と合っていて、その体を惜しみなく強調するピッタリとしたドレスは、彼女をいつもの雰囲気から引き離す。ただ、残念なのは表情に怒りがちらついていること……。

「なんだ、見とれてんのか? けっこー綺麗だろ。一応女なんだから、思ったことを口にしちゃいかん」

「隊長! 一応じゃなく私は女ですっ」

ブロウも空と同じように怒られる。

顔を真っ赤にして怒るルージュはもう、全身が赤かった。



「連絡? 隊長、異世界とそんなものがつながるのでしょうか」

会場の大広間に向かう途中、空が故郷と電話がつながったことに関して説明していると、案の定予想通りの質問が飛ぶ。

「さあなぁ……。俺は知らんぞ。そーゆーややこしい話はイ二の管轄かんかつだろ」

ルージュの疑問を面倒そうにかわしたブロウが空に向き直り続ける。

「と言っても、その『ケータイ』?その機械のことは全部わかりゃしないと思うがな。少なくともそんなのはこの世界にはないと思うぞ。言うなれば、これが『異世界間の違い』っつぅかー」

やはり、多少の差はあれどこの世界にはこの世界なりの連絡方法があるのだろう。

空も気づき始めているが、地球とこの国の技術にはそれほど大きな差が無い。ただ、生き方や分野の違いから、それぞれの物にあり方や使い方が違うのだろう。仮にも、ベッドやクローゼット、建物は中世の外国のような造りなのだから、全てまるごとしがうわけではないだろうが。

「騎士殿、少しいいですか」

「ん、何? ルージュ」

「先程聞いた通りなら、貴方の無事を知るのはそのご友人のみなのでは? 連絡がつくのなら、ご家族にも伝えるべきかと」

彼女なりに気を使ってくれたのが読み取れた。その気遣いを素直に受け取り、笑う。

「うん、ありがと。でも、どう説明すればいいのかよくわからないんだ。異世界にいるなんて、そう簡単には言えないから」

「それもそうですね。すみません、厚かましかったかもしれません」

「ううん、嬉しかったよ? だから、もっと普通に接してくれてもいいからさ」

「ですがっ―――――」

「あー、ほら。ついたから止めろ。ほら、入るぞー」


『長らくお待たせいたしました。我が国にお招きした騎士殿のご登場ですっ』


扉の向こうで、何やら言っている。

「えっ? そんな目立つ事しちゃうの……?




ちょっ、待って!

これってお披露目パーティなの!?

もっと早く言ってよー!


第十一章:お披露目

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