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プロローグ

「なんで山根(やまね)さんも学校に配送先を設定しているの……?」

「本っっっっ当にすみません!」


 困惑というか、半ば呆れた様子の担任に頭を下げたかりなは、恭しく差し出された荷物を受け取った。


 宛先は『山根かりな』かりなは荷物を頼んだ覚えは無い。にもかかわらず、こうして学校に荷物が届いている。考えられる理由は一つだけだ。


「学校は荷物を受け取る場所じゃないからね……」

「いえ、はい、あの、その、はい。分かってます、すみません、でも、はい……気をつけます……」


 かりなのせいではないのは恐らく担任も解っているはず。だが、一応は注意をされる。


 音を立てずに職員室を後にして、かりなは改めて届いた荷物を見る。何度見ても宛名は『山根かりな』だ。


「あいつ……‼」


 だいたいの理由は解る。


 この前一度注意されたから名前を変えたというのもあるだろうし、その時は呼び出されたのは星波(せいな)だったのだが、かりなが取りに行った。その一度呼ばれるのが面倒だったのだろう。


 その証拠に今回は、いきなりかりなが呼び出されたのだ。


 この荷物を捨ててやろうかと思ったが、それはもったいないため堪える。


 その代わり、中身を確認する。


 またこの前と同じ本だ。しかし違うのは本のサイズだ。この前のお菓子図鑑よりも小さく、半分にも満たない厚さだ。


「今度は海外旅行ぉ?」


 その本は世界の村と街が載ってある写真集だった。それもかわいい村と街だ。


「待てよ……海外旅行なら、旅行雑誌を注文しているはず……」


 それなら、別の使い道があるのかもしれない。


「いやでも、どう考えても海外旅行にしか使えないでしょ」


 そうぶつぶつと呟きながら歩くかりなを、すれ違う生徒が危ない人を見るような目で見てくるが気にしない。


 そうやって考えながら歩いていると、やがて教室に辿り着く。


 とりあえず星波を詰めてから答え合わせをしようと、かりなは星波以外いない放課後の教室に足を踏み入れるのだった。

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