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おは競走馬 ~走れ俺、いやマジガチで死ぬ気で走れ大事なものを守るため!~  作者: noy


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第28話 俺、花開く


 あれから特に事件が起こることもなくゲート入りをした俺、だが出走にはまだまだ掛かりそうだ。

 なぜかって?


 『ゲートイヤー!』


 こういうことである、というよりゲートを嫌がってる牝馬の声にどこか聞き覚えがある……ようなないような?

 まあ気持ちはわからないでもない、ゲートって狭いし高いし開く時うるさいし、俺たちにストレスを与えるために存在するのではと思うほどには馬の気持ちがわかってない造り、ただ動きを制限して出走させるという目的にはバッチリあってるから人間的には問題ないんだよな。


 『イヤー見えないー!なにー!』


 お、ついに目隠しされたか、他の方法がダメだったんだなとんだ駄々っ子ガールだ。

 俺は元人間で色々耐性がある、ただこのゲートの中に通常以上の時間拘束されるというのをストレスに感じる馬も当然いるだろう、大丈夫かな。


 「華麗に咲き誇ろう可愛い私の蕾」


 ロメロが体勢を作る、間もなくスタートだ。

 今!!!!!!!


 ゲートから飛び出す、いつも通り俺1頭、そう思ったが。


 『あー!もう!苛々するうううう!!!』


 今日はそう行かないらしい、俺の飛び出し、そして加速についてくる馬が1頭いた。

 併走することでよく見える鞍上は必死に手綱を引っ張っているが知ったことかといった具合で駆ける牝馬、どうやら作戦でもなければ元々逃げ馬というわけでもない、のか?


 ロメロが下手に被害を受けないようにと進路取りを変えた、そして軽く手綱を引く、隣に競って上がる必要はないとの判断だろう。

 だが俺はそれを無視して駆けた、俺は逃げ馬だ、ハナを取られるなんてゴメンだし先頭が好きなんだよ!俺の思いが通じたのかロメロはその軽く引いた一度だけで再度緩めるよう指示をすることはなかった。


 他に競る馬はなし、いったん俺とこの暴走娘の一騎打ちらしい。

 俺はスタミナに自信がある、まあそもそも馬基準で言えば1600mなんて苦になる距離ではない、ただ競馬としてとなると話は変わり通常のスタミナ消費とは異なる、その上で俺は逃げ切る自信があるんだ。


 先頭から最後尾までの差、その馬がもつ能力の理解、馬場を含めた環境の違い。いったいいつ勝負を仕掛けるのかこのあたりが一番騎手同士の戦いだよなと思わないでもない、実際は知らないが。

 コーナーを半ばと進んだころ変わらない速度を保つ俺とは異なり暴走娘が頭を上げズルズルと下がっていく、想定より早いがここまでか、次回はちゃんと鞍上の人のいうこと聞いとけよ、競馬は人馬一体だぜ。

 

 暴走娘がいなくなってからも変わらず先頭を維持する俺、しかしここでひとつの影が上がって来た、その影は影のくせに主張が強い、そう白いメスガキのお出ましだ。

 直線だけでは足りないと判断したのだろう俺との直線勝負に挑むためコーナーの段階で仕掛けて来た。


 メスガキのやる気はパドックから知っていた、だがメスガキだけじゃない、その鞍上が、調教師が俺を倒そうと策を練って今こうして襲い掛かってきている。

 俺は初めてメスガキを相手取って、いやメスガキと人間たちを相手取ってゾクリとするものを感じた、テンション上がるぜ!


 『今日は負けない!!!』


 『今日も負けない!!!』


 コーナーを越えホームストレッチ、最後の直線で俺とメスガキの声が合わさる、阪神JFの時は声なんて聞こえなかった、あの時より力をつけてるのか。

 だが俺は負けない、なぜなら俺は。


 『俺が女王(キング)だ!!!!!!』


 駆け抜けた先には割れんばかりの歓声、俺の勝利!

 負けたアルテミスステークスの時のような僅かな差でも、勝った阪神ジュベナイルフィリーズの時のような大きな差でもない、1馬身の力の差。


 『やったなロメロ!オッチャンたち喜んでくれてるかな!』


 「可愛い私の華、次の冠もいただこう」


 俺が目の前の勝利に喜んでいるというのに気が早いロメロだ、だけどそうだな、次の狙いは優駿牝馬(オークス)に決まり!

 ……オークスは2400m、俺のスタミナがあれば大丈夫だと思ってるけどオッチャンとひょろさんは走らせてくれるかな?


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