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おは競走馬 ~走れ俺、いやマジガチで死ぬ気で走れ大事なものを守るため!~  作者: noy


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第24話 俺、初めての痛み


 フヒーンフヒーンヒィン


 横たわる俺の切ない鳴き声に馬房を覗き込むひょろさんと兄ちゃんが眉を寄せた。

 可哀想でしょう俺、愛したくてたまらないビューティーホースがこんな声出してるんだから労りとして果物とかあげたくならない?具体的には今イチゴの気分、じっと2人を見つめる。


 「いやぁ、まさか新馬戦じゃなく今回コズミになるなんて」


 「新馬戦はティトゥスと競っても元気、今回は4馬身差をつけてコズミですか」


 「いつもならロメロ騎手が追うのをやめたら維持に切り替えるんだけどね」


 スイーと視線もとい顔を他所に向ける、ひょろさんや兄ちゃんは俺に言葉が通じてるなんて思ってもみないだろうがなんとなく気まずい。

 アルテミスステークスでメスガキに喧嘩を売られ負け、盛大に煽られムカついたので今回は全力で最後まで駆け抜けたとか、それでコズミ……筋肉痛を起こしてるとか、ちょっと。


 はい、俺が切なく鳴いていた理由、馬生で初めての筋肉痛。

 最初はなんか動きにくい……と久しぶりに感じた痛みという存在をぼんやりと感じ自分では筋肉痛だと気づいていなかった。だが俺の歩様がおかしいと感じたらしい兄ちゃんが調教助手の兄ちゃんに伝えさらにひょろさんにも伝わり早急に手配された獣医に診断された結果が筋肉痛(コズミ)


 「そういえばクレノの翁からの資料にハナサンはとても負けるのが嫌いだとあったな」


 「負けた後だったから意地になって走ったってことですか?」


 「わからないけどね、でもハナサンは頭がいいから勝敗も理解して動いてる可能性はあるよ」


 ジイサンめ!というより知ってたんだな俺の負けず嫌い。まあ牧場じゃマルに負けても勝つまで走り続けたし、勝ったり負けたりするようになった後も負けたらいつもよりモリモリ食べた、やけ食いだな、してたからずっと世話をしてくれていたジイサンにはわかったのかもしれない。


 「そうだとしたら考えないとですね」


 「そうだね、叩きのレースは使えないかな、毎回しっかり仕上げてたらハナサンへの負担が大きい」


 「叩きなしで大目標だけの出走ですか……」


 「かな、丸井さんと相談もするけど」


 真面目に話しているひょろさんたち、俺の目標としてはひとつでも多く勝つのは大事だ、総賞金なんて積み上げれば積み上げられるだけいい。ただ勝てる馬はその分斤量、乗せなきゃならない重量も増えるわけでそれを考えるとあまり賞金が期待できないレースは気乗りしない、オッチャンが許してくれるならひょろさんが言ってる通りがいいな。

 叩きだからと緩く仕上げても勝てればいい、ただ負けたとしたら俺はきっとまたやらかす、今回はメスガキのことがあって割り増しだったがそもそも負けたくないし負けたら悔しい。


 「それにしても今回は早く気付いてくれてありがとう、ハナサンをしっかり見てくれてるからだ」


 「いえそんな、軽いコズミでよかったです」


 『俺からもありがとう兄ちゃん』


 ひょろさんが兄ちゃんを労うのと一緒に俺も感謝を告げる、本当兄ちゃんはよくやってくれているんだよな、綺麗好きな俺のためにせっせと掃除してくれるし俺のナイスバディがピッカピカでより見栄えがよくなっているのはその手のおかげだし、わりと喧嘩っ早いところがある俺が他の馬とにらみ合いへ発展する前に気を逸らしたり宥めてくれたりするし。

 ジイサンほどとまでは言わないがいい仕事してるぜ兄ちゃんは。


 『前にたてがみ編んでみたいって言ってたよな兄ちゃん、今度編んでいいぜ』


 プヒンヒーン

 

 「なんだハナサン飯はさっき食べたばかりだろ」


 違う!!!

 というよりなんだよそのボケ老人相手にした返事みたいなのは、俺はどれだけ食いしん坊キャラに認定されてるんだ、確かに出された飯を残したことは一度たりともないし輸送中に置かれている飯も全部食べ切って催促したりするけど。


 『飯じゃない!俺を飾っていいって言ってんだよ!』


 ブフンブフン


 「オヤツもないよ」


 だから違う!!!

 そんな俺が頻繁にオヤツねだってるみたい……ねだってはいるな、兄ちゃん含め厩舎の人たちは牧場の姉ちゃんと違ってなかなかくれないけど。


 『オヤツが欲しいとは言ってないだろ!いつでも欲しいけど!』


 ブッフー


 「ハッハッハ、ハナサンのことよろしくね」


 「あ、はい!」


 オイ、聞いてるのか兄ちゃん!


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