第20話 俺、ぼっち
どうもはなちゃです、衝撃の出会いの後にあったハイパーミラクルプリティーぷくぷくまるまるキッズとの交流は見事に俺を癒し、俺が勝つ=オッチャンの懐が潤う=孫にデレッデレなオッチャンは孫に使うこと間違いなし=俺がプレゼントしてるのと同じ!ということに気付きやる気満々!調教も頑張っちゃうぞ!!!
そう思っていた俺は今故郷の牧場に戻って来ている、とても出鼻をくじかれた気分である。
「ほれハナ、差し入れに林檎もらったから機嫌なおせよー」
旅立った日以来のジイサンだが相変わらずこちらの機嫌をしっかり汲み取ってオッチャンが差し入れてくれたらしい林檎を差し出してくる。
『林檎はもらうぜ、もらうけどでもそれとこれとは話が別っていうか俺のこのやる気をどうしたら』
シャクシャク
『俺は、これからガンガン調教しようぜって気分で』
ジュルル
「よーしよし」
『この溢れるパッションを一体どうしたら』
ペロペロ
「今日も調教がんばろうなー」
『ところで林檎もっとない?』
え、調教あんの?
林檎を食べた後俺はそのままジイサンの手で調教に連れて行かれた、まあそうは言ってもひょろさんのところでされるほどの負荷はないものだったが。
てっきり放牧中は調教とかないのかと思っていた、どうやら違ったようだ、これが怪我となったらまた別として俺の場合ひょろさんやジイサンが言っていたことから考えるにこれからさらに暑くなる本州よりどうせ北海道に来たならいったんそのままリフレッシュしてしまおうという感じだったしな。
そんなわけで軽めの調教や放牧をされる日々なわけだが、そう放牧。
顔見知りの牝馬たちは元気かなーとかちょっとルンルン気分だった俺、放牧されたのは以前放牧されていたより狭い囲いの中、仲間の馬は1頭もいませんでした。
物理的に1頭である、いやまあ俺も正式に競走馬デビューしたし?俺たちは本能的に上下関係を決めたがる生き物で場合によってはなぁに上から目線で見てやがんだアンゴラァなんて柄が悪くなることもあるから怪我するリスクを極力減らすためと考えれば納得だけど?
寂しいものは寂しいんだよ!!!!!!だって俺産まれてからずっと放牧と言えば小さいとは言え群れの中で、馬房に戻れば近くに他の馬たちがいるのを感じられるがここはポツンと1頭なわけ!隣に同じような状態の馬がいても間あるからこれじゃ一緒に走れないし遺憾の意である!!!
『アンタもそう思うよなぁ!?』
ヒヒーンと嘶く俺、だがお隣さんの見知らぬ牡馬はスルーである、いや最初は相手してくれてたんだが俺がうるさくし過ぎたのかたまにしか反応しなくなった、正直すまん。
お隣さんがスルータイムに入ったので俺は1頭で走り始めた、愚痴はスルーだがこうするとお隣さんは柵越しに併走してくれるんだよな、優しいんだ。
「ハナ―、帰るぞー」
ジイサンの声が聞こえたいい子な俺はパッパカ近付いて行き引き綱をつけられてジイサンの隣を歩く、別に引き綱なくても大丈夫なんだけどなジイサンもわかってるから一応つけるけど指示するわけでもなく隣歩いてるだけだし。
あ、でもマルたちと出会った時や別れた時みたいに放牧地が変わることはあるしそうなると逆に俺みたいに頭の良い馬は行き先を間違うからやっぱり引き綱は必要か。
『なあモモとか帰って来てないのかジイサン、そうじゃなくても俺仲良くやれるよ?』
「よしよし」
『俺ほどフレンドリーな馬そうそういないぜ?あ、そこもうちょい下』
ジイサンに頭を押し付け撫でられながらポクポク歩いていると不意に誰かの声が聞こえる。
『俺様がイッチバーン!』
なんともアホっぽい声である。
そちらを遠目に見ると何頭かの仔馬とその母馬と思われる集団が柵の中にいた、俺もそうだったように乳離れ前の馬たちの群れだろう。
……。
う゛ら゛や゛ま゛し゛い゛!!!!!!!!!!!!!
俺もあんな頃あったな、今ぼっちだけど、みんなで仲良く走ってたよな、今ぼっちだけど、ああすることで鍛えられるし社会性が育てられるんだよな、今ぼっちだけど!
『ジイサン早く帰ろ……』
「今日は食後にバナナがあるからなー」
『マジで!?』
ヒャッフー!!!




