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第86話 俺、怒りの矛先


 『もうどれだけ一緒に走ってないと思ってるんです!?』


 え、いやドバイで……。


 『はぁ!?調教で走った!?そういうこと話してるんじゃないってわからないんですかぁ?』


 うっす。


 『そもそも去年のヴィクトリアマイルだって出てこない意味わかんないし?』


 俺も出るかなーって思ってたんだけど……。


 『牝馬限定とか興味ありませーん、ってことぉ?確かにハナは強いけどそういうのどうかと思うなぁ』


 そんなことはいってないしそもそもレース決めるのは……。


 『自分でレース決めてるわけじゃない?だからぁ今話してるのはそういうことじゃなくてハナの中でワタシと会えなかった期間の話してるんだってわからないわけぇ?』


 えー……。


 『あの狭い中で久しぶりに話したのにエウテアモには邪魔されるし!!!!!!』


 『急な飛び火が俺ちゃんを襲う!!!!!!!!!!!』


 俺、タカネノハナ、今ドバイ振りに会ったロッカから怒られてるの……。


 俺、なにも悪くないのに!


 あ、エウテアモはなんかスマン……いや俺が悪いわけじゃないけど。


 『まぁまぁカワイ子ちゃん落ち着いて、美人サンだってちゃんとカワイ子ちゃんのこと『だからエウテアモは混ざって来ないで貰えますぅ!?』……ッス』


 ……本当なんか、ごめんな?


 『ハナがレースにいないってなると終わった時世話係は困った顔するしオーナーのオジサンは悲しい顔するし!』


 『オジサンは知らないけど世話係が困った顔するのはお前が駄々こねたりするからじゃ『なに!?』……何でもないです』


 『なによりワタシはずっとハナと走りたいと思ってたのにハナはそうじゃない感じが無理、ワタシのことなんてどうでもいいんだ!』


 なんかメンヘラ彼女みたいなこと言い出すじゃん。


 『2歳のころから何回もてっぺん目指して競って!でもハナにとってはそういうの関係なくワタシより強い牡の方が好きで一緒に走りたいんでしょ!!!!!!!!!!』


 『俺がとんだ尻軽みたいに聞こえるからその言い方はやめろ!?』


 とんだ風評被害にあう所だ、いや確かに走るなら強いヤツ相手の方が俺は燃えるし楽しい、自分が思っている以上の実力が出ることもある……ティトゥスのアホなんで今年走ってないんだろうな、マルのヤツとも走れてないし。


 『今他の馬のこと考えたでしょ!?』


 『なんでわかった!?』


 『図星なわけ!?ワタシと話してるのにサイテー!』


 『アッ』


 やっちまったぜ!ついうっかりポロッと本当のことが、これが牝の勘か……侮れないな。


 『いやでもそれはロッカが強い牡とかいうから連想したのであって……』


 『ワタシのせいにするんだぁ、見ず知らずの強い牡のこととか?ワタシ知りませんし、ハナはいろんな牡見て来たんだろうけどぉ』


 『いやだから言い方!!!!!!!!ティトゥスはそっちのトレセンだし会ってただろ!?他にもこっちじゃない強いやつはいたはずだし周り見てたら会うだろ!』


 『ティトゥスってあのスカシ野郎?1回ハナのこと聞かれて以来話してないんで知りませーん!っていうか強い牡っていわれて思い浮かんだんだー、へー、ふーん!!!!!!!』


 『会う可能性が高くて強いやつの名前上げただけでティトゥスがどうとかじゃねぇって!!!!!!!!!』


 『じゃあハナはティトゥスとワタシどっちと走りたいの!?』


 『どっちも走りたいけど今から走るのはお前だろ!!!!!!!!!!!!』


 『まぁ……それは、そうなんだけどぉ、それだけじゃ足りないっていうかぁ』


 改めて俺タカネノハナ、今居るのは安田記念のパドック、絡んで来るのはメスガキからメンヘラ彼女にジョブチェンジしたらしいロッカ、エウテアモは悲しそうな目をして周回する列に戻って行った。


 パドックの中心で浮気を責められる男の気分を味わうことになるなんてなぁ……。


 あとなにより兄ちゃん、いつも何かと絡まれる大人気のビューティーホースでごめんな……。


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