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第77話 俺、競り合い


 よーし、いよいよ本番、やるぞやるぞやるぞ!


 なんて気合が入る俺、いや今までももちろん気合は入ってたし勝つつもりだったぜ?ただ今回はダートレースっていう今までとは違ったものになるわけだ、芝ではなんだかんだ俺が勝っちゃうんだよな!とか思っていたがダートってなるとさすがに自信が薄い、ないとはいわない、スーパービューティーホース俺だから。

 

 ダートはな、まだ実績がないから、走れると思うが勝てるかは……なんだかんだ実績って大切。


 それにしても夜のレースは初めて、競馬場自体に馴染みがあるない以前の問題で見慣れない光景だ、暗い中照明がたかれ走るのはダートか暑い国ならではって感じだよな。

 ピッカピカに光る照明、うっかり直接見たら目が眩みそうだロメロ気を付けろよなんて思いながらゲート入り前のグルグルタイム、ドバイに来て直ぐ感じたが日本のダートとはやはり違うような気がする、俺はそこまで日本のダートを知っているわけじゃないから多分だけどな、国によって砂の割合が違うんだったか?


 そうこうしているうちに俺の番だ誘導に従い枠内へ、今日は4番ゲートである、日本とは呼び方が異なるためそのまま内側から4番目だ。

 悪くない枠だな、きっと競馬の神は俺の勝利を見たがっている。


 『ロメロ俺はやるぜ!』


 プヒィン


 「熱くなり過ぎないようにするんだよ」


 落ち着かせるように首をトントンと軽く叩くロメロ、本馬場入場の時もそうだが俺の思考をすぐ読んで来やがる……いやでも確かに熱くなり過ぎるのはよくない、勝負どころはきっちり燃え上がらないとなんねぇけどな!


 鞍上のロメロが体勢を整えることで他の馬の枠入りが間もなく終わることを感じ取る、いつでも飛び出せるように集中する俺。


 ……。


 よし!今!!!!!!!!!!


 ゲートが開いた瞬間、ポンッと完璧なタイミングで飛び出したさすが俺!


 ……そう思ったが今日は一味違うらしい、俺より内側の馬がほぼ同タイミング、完璧な飛び出しを見せそのまま競り合うように足を進める。

 先行馬なら控えるはずだが視界に入る馬はさがっていく様子はない、こいつも逃げ馬か!


 他の馬が後方に控える形となる中ハナを取るための争いが続く、ロメロも今回は先頭が作戦の内なのかいつかのように俺を止めることはなく好きなように走らせてくれる。

 しかし相手の方が内枠からの発走だったことと引く気が一切ない走りで競り合ったままコーナーへと入っていく。


 『お嬢ちゃんは下がりな!』


 『そんな年じゃねぇが、そういうオッサンこそさがっとけよ!!!』


 何を隠そう本日は紅一点の俺、お嬢ちゃん扱いをされてしまった。

 元々パワーとスピードを求められる関係上上位のダート馬となると牝馬の割合は少なくこのドバイワールドカップでは滅多に牝馬の出走がない、だからこそ俺の記憶には薄く牝馬の斤量減あるのか?ってなったわけだしな。


 ただ俺はパワーも一定のスピードも、なんならスタミナだってあるスーパーパーフェクトビューティーホースだからお嬢ちゃんなんて舐めて貰っちゃ困るぜ!

 内に1頭入り必然的にロスが多くなるコーナーもなんのその、俺は隣のオッサンと並んだまま一歩たりとも引かずにバチバチとやり合いながらバックストレッチへと入った。


 これもダートの特徴か馬群はさほど伸びることがなく連なる形で進む、差し追込みが不利とされる環境で勝機を見出すには芝ほどの開きは不可ということなのかもしれない。

 芝とは異なる複数の足音、踏みしめて掻き上げる脚により後方の馬たちには相応のダートがかかり、時には塊がぶつかっていることだろう。


 俺心の底から逃げ馬でよかった!!!!!!


 ダート馬として大成するには逃げ馬でないならキックバックによる影響に耐えられる精神が必要とされる、芝でもキックバックはあるがダートはその性質上頻度と量に差があるんだよ、いや芝の塊もえぐいけどな?

 俺は嫌だ、砂を被るのは絶対嫌だ、だからスタート直後ああ言っていたがロメロが控えさせようとしても強固に反発し折り合いを欠く結果となっていただろう。


 ……もしかしてひょろさんはそれも考えて絶対先頭を取る方向での作戦にしたのか?

 まあ俺はダート経験が浅いしキックバックを受けてやる気がなくなる、なんてこともあり得る以上当たり前といえば当たり前の選択か。


 バックストレッチでも形勢変わらず、オッサンと俺が率いた馬群は再びコーナーへと入り後方に甘んじていた馬たちが一斉に動き出す。


 さすが世界各国から招待された選りすぐり圧が半端ない!!!!!!


 ……そういえばドバイって招待制なんだよな、これに出たいですって多くの馬が登録してその中からドバイ側がアナタとアナタはどうぞって来てよし行くぞで出走が決定するわけだ。


 俺の場合日本での実績を加味してドバイ側が想定するとしたらターフかシーマだろ?でもワールドカップで走ってるってことは多分ひょろさんは第一希望をワールドカップで出したんだよ、さすがにターフかシーマを優先希望で出してたいたらそちらが通るはずだ。


 よく許してくれたな……?俺だったら第二、第三希望でターフなりシーマなりがあったらそちらで通……まさか第一希望だけ!?いやそんなこと出来るか知らないけど、俺は自分でいうのもなんだが一流馬の1頭だと自負している、どうしてワールドカップで走っているんだろう。


 脳内ではつらつらと考えていようと脚の回転は変わらない、先行差し追込み、隣のオッサンと一緒に引き連れいよいよ最終直線!


 ダートでだって俺は勝ってみせる!!!!!!!


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