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第76話 俺、気付く


 いやさ、ドバイに来る前からやけにダートでの調教多いなーとは思ってたんだよ、ただ芝馬だからってダート調教はありえない!なんてことはないし、俺も5歳になったし?こちらに来てからはいつもと異なる環境ということもありそんなものなのか?なんて思って……顔馴染みの芝馬じゃなく見知らぬ馬とダートを走らされてた時点で気付け?……それは、そう。

 

 俺ってもしかして鈍い……?

 ドバイに来てから今まで知らなかった自分が見える、これが海外効果か。

 

 なんて思っているのも束の間、ロメロを背に乗せたまま動揺もあっていつもより多く回っておりますをダートでも変わらずやる俺。

 

 え、っていうかさ、これもしかして俺が今から走るのってドバイワールドカップ?あの?賞金バカ高い?

 ひょろさん俺ダートでもやれんの!?どうせダート走るならさらに高いサウジカップから攻めてもよかったんじゃねぇかな!?


 自分のダート適性の謎、予想外の出走、俺の心は大荒れだ。

 個人的な意見でいいならダートは嫌いじゃない、走りにくいということもないしむしろあの走った感覚は癖になる感じもある、ただし前に馬がいるのはダメだ、ダートのぶっ掛かる不快感が凄まじいダート馬たちはキックバックを受けてもひた走る根性を試される。


 俺、逃げ馬でよかった。

 ドバイワールドカップなら距離は2000mか?俺のスタミナならダートでも問題なし、パワーだってこのハイパービューティーボディにはしっかりとついているし牝馬の斤量減はあるのか?そこまでは知らないがまあなくても俺はやれる!


 ダートは差し・追込み馬が不利で逃げ・先行馬は有利と言われている、それはダートという足場ではスピードが出にくくよほどぶっ飛んだ末脚を持っていないと先行している馬に追い付けないというのが一般的だからだ。

 例えばマルやティトゥスみたいな末脚を持っていればその限りではない、何事も外れ値というのはある、アイツらの末脚はもういっそ気持ち悪いレベルなんだよ、末脚がいまいちキレない俺の負け惜しみじゃないからな!?


 他の馬がどういう走りをするのかはさっぱりわからない、俺の他に逃げ馬はいるのか、どんな特徴を持った馬なのか……まあその辺りはひょろさんやロメロたちがしっかりと対策してくれているだろう。

 これが芝ならまだ、うーん、海外馬多いしわからないか!


 『ロメロ俺の分までしっかり頼むぜ』


 プフゥー


 「どうかしたかな私の麗しの華」


 輪乗りの場で軽く頭を振りながら歩く俺に何かを感じ取ったのかロメロが首を撫でてくる、よきかな。


 『ハナちゃんがんばるのねー』


 『おー、がんばろうな』


 そんな俺とロメロに近付いて来たのはドバイに来てから度々一緒に走っていた馬だった、この馬はあまり飼い食いがいいほうじゃないらしく俺と一緒にいるとよく食べてくれると厩務員の人が言っていた、馬体も会った当初よりずいぶん見栄えがするようになっている。

 

 しかしそうか、そうだよな、お前ダート馬だったんだな!!!!!!!!!!!!


 今見たら納得なんだよ、パドックでも妙にごつい連中が多いなとか思ってたし!この馬はこの馬でガレていたといっても馬格は結構なもんだったし!?

 本当、なんで今日の今日まで俺にバレなか……あ。


 パドックでのあの言葉、厩舎一丸となって俺がドバイワールドカップ参戦することを隠してたな!?


 騙すためなのか感覚を忘れないためなのかしっかり芝での調教もされていたんだよ俺は、ダート走るって言ったら拗ねるとでも思われたのか?そこまで神経質じゃないしむしろちょっと面白いなくらいに思うけど!?

 ひょろさんとオッチャンが決めたっていうなら信頼もあるし、今回今日というこの日まで隠されていたことは誠に遺憾である。


 まあけど俺がやることはいつもと変わらない、全力で走って勝つ!!!!!!!!!!!!


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