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第72話 俺、新事実


 俺の栗毛を褒めてくれているのは現地スタッフ、つまり俺からしたら外国の人、その言語は当然異なるはずだが、なんか……わかるな?


 周りにはパッと見て日本人とわかるような人間はいないし、きっとおそらく日本語ではないはず。

 ちなみに言っておくと英語はさっぱりできない、それでも英語なら英語だとなんとなく認識できるしアラビア語だったらさっぱりわからない言語だ!と感じるはずなので完全に日本語に聞こえる現状は可笑しい。


 馬として生まれ変わってはや5年、俺は馬でありながら人間の言葉が理解できるという能力を持っていると思っていたが実は【言語能力EX】だった!的な展開が今更やってくるなんて……。


 まあ言語系は王道だよな言葉わからなかったら何するにも困るし、けど俺馬……理解できたところで俺からの意思疎通は難しい、兄ちゃんやジイサンはなんとなくわかってくれるがそれはそもそも言語関係なく快不快とかそういった方面の話で、いや嬉しいけどな?日本語聞こえるとなんとなく安心感あるし。


 それにしても、だ。


 『どうりでロメロは周りに人がいないと言葉が流暢だなーって思ってた!!!!!!』


 おっとうっかり声にも出ちまった、ロッカがなんだとこちらを見て来るのでなんでもないと頭を振っておく。


 いや聞いてくれよ、俺が関わる外国人なんてのはロメロくらいのもので牧場のスタッフにもいたりしたが俺のお世話係になるようなことがなかったから知る機会がなかったんだって!

 ロメロのはほらアレ、カタコトの方が日本人ウケいいしなとか、そういう感じのキャラ作りだと思ってたっていうか、そんな唇の動きと耳から入って理解する言葉が同じかなんて読唇術が出来るわけでもないからわからなかったし!?


 つまり断じて俺の察しが悪いとかではない!……はず。


 「アウグストゥス陣営は去年の雪辱をなんて思ってただろうに、日本って引退早いの?」


 「俺が知る限りそんなことはない、ティトゥスが特別早いんじゃないか?」


 「親が亡くなって血統を確保したかったとか?」


 「かもしれない、日本の血統なんて俺は知らないけど」


 「なに寝ぼけたこと言ってるんだよアウグストゥスの父は日本馬じゃないか」


 「そういえばそうだった!すっかり忘れてたよ」


 「日本馬でも欧州の芝に合う子は合うんだろ」


 「我らがドバイなんかは日本馬のオヤツになってるしな」


 「そもそもメイダンは欧州の芝とは違う」


 「今年の注目馬は目下この栗毛ちゃん?」


 「バカいうなよ注目っていったら1頭、決まってるだろ」


 「またまた忘れてた!」


 「お前はもう少し競馬に興味を持てって」


 「持ってはいるんだけどねー、こうつい抜けるっていうか」


 「そうだこの栗毛名前が変わってるんだよタカネノハナだってさ」


 「タカネノハナ?」


 「日本馬はどういう取り合わせだよって名前もいたりするけどタカネノハナは、日本語か?」


 「みたいだな意味は……なんだったかな」


 「オイオイそこを忘れたらこの話題の着地点がなくなるだろ!」


 複数人でお喋りが止まらないスタッフの人々、HAHAHAなんて笑いが響く中俺としては情報が貰えてありがたいし耳ピンで聞いている。

 こういう時日本だとあまり喋らず黙々と馬房に連れて行かれるイメージだがこれもお国柄か?そもそも現地スタッフではあっても現地人かは別なわけだが。


 あ、そうそうスタッフたちの会話でわかる通り俺は今ドバイにいます。

 海外は海外でもオッチャンが何かを思い付いてうっかりサウジ送りにされなかったことだけは心底ホッとした。


 そしてドバイといえば、そう。


 オイルマネー!!!!!!!!!!!


 中央の馬主であり常に複数所有馬のいるオッチャンの孫娘という時点でヒナちゃんは金銭的に困ることもなければ常日頃からいいものを食べているだろうけど勝てばオッチャンはヒナちゃん一家へとなにかしらプレゼントとして還元するはずだ!


 いくら俺ががんばっても直接ヒナちゃんに何かをあげることは難しい、でも間接的にでも俺の走りがヒナちゃんへの影響あるものに変わるのは嬉しいからがんばる。

 それにヒナちゃんは俺が勝つと喜んでくれる、今回のレースだって来るかもしれない、来るよな?連れて来てくれよオッチャン!!!!!!!


 ということで、今回も俺が勝ってみせるぜ!!!!!!!


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