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第2話 あの、お母さま。これ、見てください。お花です。とっても綺麗なんですよ。

 あの、お母さま。これ、見てください。お花です。とっても綺麗なんですよ。

 

「小鹿姫。私ですよ。藤姫です」

 そんな聞き慣れた声が木の後ろから聞こえた。(その可愛らしい声を聞いて、ちょっとだけ安心した)

 小鹿姫は刀から手を離して、抜刀の姿勢からいつもの普通の姿勢に戻った。

 木の後ろから姿を見せたのは、一人の女の子だった。小鹿姫と同じ年くらいの、とっても美しいお人形のような、小鹿姫のよく知っている女の子がそこにはいた。

 宮中ではいつも一緒にいて、今みたいにかくれんぼをして、遊んだりもしていた。

 でもそのときの二人はとても動きずらい豪華な着物を着ていたのだけど、今は二人ともそんな動きずらい着物は着ていなかった。

 藤姫は桃色の鮮やかな着物を着ていて、帯は薄紫色をしていて、その着物の上には海のような青色の羽織を羽織っている。

 長くて美しい凛とした黒髪は白の蝶のかんざしでまとめている。

 腰には一本の『美しい神聖な白い光で淡く光っている真っ白な神刀』をさしている。

 そこにたっているのは間違いなく、小鹿姫の一番の(あるいは、ただ一人の本当の)お友達の藤姫だった。

 宮中で剣を学んでいる姫は小鹿姫と藤姫の二人だけで、(本当なら宮中の姫さまは剣を学んだりはしなかった)幼いころからの剣のお稽古のときに出会ってから、小鹿姫は藤姫とお友達になっていた。

 藤姫のお家はだいだいの剣の名門のお家だった。(藤姫はそのお家の剣を受け継いでいる剣の天才の一人娘だった)

 藤姫は小鹿姫を見てにっこりといたずらっ子の顔で笑っている。

 小鹿姫は心細かったひとりぼっちの深い森の中で、お友達の藤姫を見て、はじめはにっこりと同じように笑ったのだけど、すぐにはっとしたまじめな顔になると、「藤姫。どうしてついていたのですか? だめだっていったじゃないですか!」とちょっとだけ怒った声でそう言った。

「どうしてって、だって私たちはお友達ですもの」

 藤姫はそうでしょう、小鹿姫。と言っているみたいな顔で小鹿姫を見ながら、そう言った。

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