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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第三章
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実技試験 戦闘編

── 総合学園入学試験、実技部門。魔法、及び魔法を介さない戦闘技術の2点の実力を図るために行われるこの実技試験は、受験生とって、大きな意味を持つものとなっている。何故なら、この試験は総合学園の生徒も自由に観覧できるからだ。ここで実力を示すことができれば、入学後にどこかしらの派閥に所属できる可能性が高く、場合によっては通常ならば接点を持つことのできない相手との繋がりを作ることも可能だ。だからこそ、この試験では全員が自分の持てる実力全てを発揮しようと意気込んでいる。


「次!ミリア=グリーツ!」

「はい!」


はじめに行われるのは、戦闘技術の試験だ。受験者は、各々が放つことのできる最高火力を専用の案山子型の魔導具に叩き込み、魔導具の読み取ったデータを元に点数をつける形になっている。評価基準は、威力、技の精度、実戦での使いやすさの3項目で、それぞれ100点満点の合計300点で点数がつけられる。


「準備はいいか?」

「はい。」

「では、始め!」

「ふぅ……。……はっ!」


ミリアは目を閉じて意識を集中した後、かっと目を見開いて案山子に向け斬撃を放つ。その衝撃は凄まじく、15メートルくらい離れたところにいた僕たちのところまで風が届いたくらいだ。当然、案山子は一刀両断された。


「記録は……265点!威力、精度は申し分ないが、攻撃までの溜めが少し長い感じだな。次!」


その攻撃に周囲から歓声や響めきが上がる中、試験官が評価を口にする。


「お疲れ様。」

「いやー、もう少し点数を取っておきたかったけど、やっぱり評価厳しいね〜。」


どこか悔しさを滲ませるミリアだったが、265点でも十分に高い点数だ。


「十分高いと思うよ?だって、魔法を使えないからそれ以外の戦闘技術を鍛えました、って人でも150点くらいだもん。」


確か250点を超えたのは将来Sランクになるか、なれなくてもAランクの上澄みの人ばかりだったはずだから、ミリアは十分に力は示せたと思う。


「次!ノア=シスト!」

「はい、……じゃあ、行ってくるね。」

「うん!行ってらっしゃい!」


僕はミリアにそう言って、試験官の元へ向かう。


「準備はいいか?」

「はい。」

「では、始め!」


試験官の合図で、僕は佩いた刀に手をかける。


「桜花流刀術、二・五式複合・八重桜閃(やえおうせん)。」


そして刀を抜き放ちながら案山子の横を通り過ぎ、残心の後刀を鞘にしまう。その音と同時に、案山子は都合16の破片に分割され、地に落ちる。


「記録は……300点!文句なしの満点だ!」


ミリアの時とは違い周囲が静まり返る中、試験官が評価を口にする。


「お疲れ〜。やっぱりノア君はすごいね。」

「まあ、こっちが本業だからね。」


僕とミリアがそう話していると、少し暗い表情のトウカとレオナさんがやって来る。


「その感じだと……あんまりいい点数は出なかったのかな?」

「……うん……。」

「……遺憾。」


僕の言葉に、2人は小さく答える。


「まあ、2人とも本業は魔法だもんね。それ以外の戦闘技術ってなるとちょっと振るわないのも仕方ないよ。」


僕がそう言うと、2人はジトッとした目を僕に向けてくる。


「……ノアは魔法も一級品。ずるい。」

「そうだよ。しかも魔法も一回見ればほとんど使えるようになるじゃん。」

「それはスキルのおかげだしなぁ……。」


トウカの言葉に、僕は頬を掻きながら苦笑する。


── 最近はスキルにも慣れてきたおかげで自力でも魔法陣をコピーできるようになってきた、ってのは言わない方が良さそうだね、うん。


「そう言うスキルと出会えることが才能なんだって。それに、そのスキルって自分が適性を持ってない魔法は使えるようにはならないんでしょ?」

「そうだね。」

「それなのにほぼ全部使えるのがおかしい。基本属性ならともかく、発展属性も使えるなんて普通はあり得ない。」

「あー……それに関しては……。……まあ、レオナさんならいっか。」


レオナさんの言葉に、僕はちょっとした誤解があることに気付き、そこを訂正する。


「別に僕、発展属性まで全部使える訳じゃないよ?それこそ、氷とかは適性持ってないもん。」

「?じゃあ、何で使える?」

「それは、ちょっとした工夫をしてるからだね。……レオナさんって、魔法の適性ってなんだと思う?」

「自分が生まれ持った才能。」

「まあ、それはそうなんだけど……。ちょっと聞き方を変えるね。自分の中で魔力がどういう状態にあるかって分かる?」

「ん。適性ごとに、それぞれ区分けされてる感じ。」


レオナさんの言葉に、僕は頷く。


「だよね。でも、変じゃない?魔力を生み出してる身体は一つなのに、幾つもの属性の魔力に分かれてるなんて。」

「……確かに。でも、何が原因で……?」


そして続く僕の言葉に、レオナさんははっとした様子でそう呟き、その原因について考え始める。


── ここまで言っちゃえば多分、自力でも答えには辿り着けると思うけど……だいぶ時間がかかっちゃうだろうし、もう一つだけヒントをあげようかな。


そう考えた僕は、何でもないことのようにこう呟く。


「……無意識を意識するのって、難しいよね。」

「……!まさか!」

「気付いたみたいだね。後は、魔法陣の一部を弄れば大抵の魔法は使えるよ。……まあ、適性があった方が威力や効率はいいけどね。」


僕の言葉に、レオナさんは興奮した様子で詰め寄ってくる。


「ノア。これは、世界が変わる。……すぐに論文に取り掛かるから、協力して。」

「いいよ。」

「……えーっと……よく分からないけど、なんか凄い事になってる感じ……?」

「当然!」


そんなミリアの言葉に、レオナさんは大きく頷く。


「まあ、今は試験に集中だね。次は魔法だから……レオナさんとトウカの本領発揮かな?」


そんなレオナさんを落ち着かせようとそう口にしつつ、僕は次の試験場へ3人を誘導するのだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

ちなみに八重桜閃は、某片翼の天使さんの八刀一閃みたいなものだと思ってください。

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