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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第三章
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試験前

「── 皆、忘れ物はない?」

「無いよ!」

「ん。問題なし。」

「そういうお兄ちゃんは大丈夫なの?」

「うん。……僕の場合は全部仕舞ってあるからね。」


ラピズに到着してから4日後。僕たちはそんなやりとりをしながら、総合学園へと向かっていた。


── 今日は総合学園の入試2日目、実技試験の日だ。一応昨日筆記試験もあったけど……特にいうこともない普通の試験だったかな。一問だけやたら難しい魔法学の問題ならあったけど……まあ何とか答えられたし大丈夫だと思う。


「でも、ちょっと面倒だよね〜。入学は決まってるのに試験を受けなきゃいけないって。」


僕が昨日の試験の感想を心の中で呟いていると、ミリアがどこか不満げにそう口にする。


そう、実は僕たちは、既に入学が決まっている。というのも、例の"特進クラス"に所属される人に関してはもともと入学するには十分な実力を持ってる人だから、試験を受けなくても入学できるんだ。


「仕方ないよ。私たちの実力を見せないと不満を言う人もいるだろうしね。」


そんなミリアの言葉に、トウカがそう答える。


「それに、今回は特殊な生徒もいる。ここで全員を黙らせる実力を見せる必要がある。」


トウカに続けて、レオナさんが僕の方を見ながらそう口にする。


「ははは……。……まあ、他の人から見れば試験を受けなくても入れるなんてずるい!って思われちゃうだろうし、レオナさんのいう通り余計な人は実力を見せて黙らせた方が楽だしね。」

「それもそっか。……よし!今日の実技試験も、頑張るぞ〜!」


そんな彼女の言葉に僕が苦笑しつつ賛同すると、ミリアも気持ちを切り替えたのか元気よく手を空に突き上げる。


そんなやりとりをしながら学園に向かっていると、周りにも受験生と思しき人が増えてきた。


「見て、"剣聖"ミリアさんだわ。」

「"聖女"トウカに"真理の探究者"レオナもいるぞ。」


そうなれば必然的に、皆は周りの人の注目の的になることになる。ただ……。


「……ところで、残りのあいつは誰だ?」

「男性……でしょうか?遠目では何とも言えませんね……。」

「ああ、あれが噂の()だよ。」

「ああ、あれが……。」


僕の場合は、悪い意味での注目だけど。……まあ、それも仕方ない。僕のことについては対外的には「転移魔法の実験に巻き込まれ長らく行方不明になっていたが最近ようやく発見された」っていう、割と事実に即したカバーストーリーが流布されてるけど、当然そんなものを信じる人も少ないから、実際のところ僕の評価は「過去の名声を利用してる替え玉」みたいな感じになってるんだよね。しかも、それでいてミリアやトウカ、レオナさんみたいな有名人と一緒にいるとなれば、当然悪感情を向けられる訳で。


「お兄ちゃん、落ち着いて。」

「ノア君……?とりあえず落ち着こ?」


すると、不意にトウカとミリアからそう声をかけられる。


「?別に普段通りだよ?」

((お兄ちゃん(ノア君)がその笑顔を浮かべてる時は絶対苛立ってる時だよ……。))


僕がそう答えると、2人から嘘だぁ、と言わんばかりの視線を向けられる。


「周りの声なんて気にしなくていい。どうせこの後、ノアの実力に驚くことになる。」


そんな中、レオナさんが僕にそう声をかけてくれる。


「因みに、何をやる予定?」

「うーん……。……例の(教師の)件もあるし、なるべく『新星』ノアとノア=シストが同一人物だって思われる要素は排除しておきたいから……時空間と雷は封印かな。」

「……でも、そうなると観衆の度肝を抜くのは無理。」

「そうなんだよね……。……一応1個手はあるけど……あれを見せるとめんどくさいことになりそうだし……。……あ、そうだ。」


しばらく考えた後、僕は思いついたアイデアをレオナさんに話す。


「── っていうのはどう?」

「……面白い。でも、本当に出来る?」

「うん。これ(・・)に関しては魔力の制御と魔力量が一定以上なら誰でもできるよ。」

「私も?」

「うん。ちょっと練習は必要だけどね。」

「……なら、やるべき。採点方式的に、もしかしたら過去最高得点が出るかも。」


彼女の問いに僕が自信を持って頷くと、レオナさんは面白い、と言ったような笑みを浮かべる。


「でも、ノアの発想には驚かされる。」

「そんなことないよ。僕のアイデアくらいだったら、誰でも思いつくもん。」

「確かに、思いつくだけなら誰でも出来る。ただ、それを実行できるのが凄い。」

「そう?……まあ、とりあえず今は試験に集中かな。」


僕はそう言って、3人にに声をかける。


「皆、準備はいい?……"特進クラス"の反対意見は、全部潰すよ。」

「うん!」

「だね!」

「ん。」


僕の言葉に3人が強く頷く。それを見て僕は大きく頷き返し、試験が行われる総合学園の敷地に足を踏み入れるのだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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