到着、学術都市
「とうちゃ〜く!」
あの後3日位かけて学術都市ラピズにたどり着いた僕たちは、各々が身体をほぐしていた。
「ヴィルさん、ありがとうございました。」
「いえいえ。仕事なので。」
「でも、疲れたんじゃないですか?」
「ノア様の結界のおかげでかなり揺れも軽減されていましたし、そんなことはありませんでしたよ。」
そう言ってくれるヴィルさんだけど、魔導車の運転ってずっと気を張ってないといけないから精神的に疲れると思うんだよね……。……そうだ。
「ヴィルさんヴィルさん。」
「?どうしましたか?」
「"休息"。」
僕はヴィルさんに、ここまで運転してくれた感謝も込めて、さっき魔導車の中で三人が話していた魔法を使う。
「これは……ノア様、ありがとうございます。」
「こちらこそです。」
「では、私はここで。」
そう言ってヴィルさんは魔導車に乗り、走り去っていく。
「とりあえず、学園まで案内する。着いてきて。」
僕がヴィルさんを見送っていると、レオナさんからそう声をかけられる。見れば、ミリアとトウカもこちらに手を振っている。
「分かったよ。」
僕はそう答えて、彼女の後についていくのだった。
「── で、ここがメインストリート。一番賑わってて、掘り出し物もある。」
彼女の案内のもとラピズの街を歩くこと約1時間。僕たちはこの街のメインストリートに辿り着いた。
「掘り出し物、って?」
そうミリアが聞けば、
「ん。この辺は、許可さえ取れば誰でも店を出せる。だからここには、本当にいろんなものが売ってる。もちろんガラクタも多いけど、偶にいい効果のついた魔導具が売ってたりする。大体が学園生のやつだけど。」
と、すぐにレオナさんが答えを返してくれる。
「へー。……じゃあまた今度、皆で見にこない?」
レオナさんの答えを聞いた後、不意にミリアがそう提案してくる。
「私は賛成です。いい息抜きになりそうですし。」
「賛成。……ノアなら面白いものを見つけそう。」
「ノア君は?」
「……そうだね。皆が行くんだったら僕も行こうかな。」
僕はそう答えつつ、辺りを見回す。
「それにしてもすごいね、この街。色んなことに魔導具が使われてる。」
「……流石。よく気付いた。」
そして僕がそう呟くと、レオナさんが少し驚いたような表情でそう口にする。
「え?魔導具?」
「そんなものありましたっけ……?」
そう疑問の声をあげる2人に、レオナさんが説明を始める。
「かなり魔導具に精通してる人じゃないと見分けるのは難しいけど、この街にはそこら中に魔道具が使われてる。街灯もそう。だけど、多分ノアが気づいたのは"監視"と"結界"の魔導具。」
「監視と……。」
「結界……ですか?」
「ん。……この街では、主に外から来た人に対しての監視が行われてる。……とは言っても、名前と出身地、犯罪歴の有無くらいだけど。それで、もし誰かがこの街で事件を起こした場合、"結界"の魔導具が発動する。」
「……多分、監視の情報をもとに周囲の一般人に対物理・対魔法結界を展開して守りつつ、場所を衛兵の詰所がどこかに送る感じかな?」
「……合ってる。」
僕が結界の魔導具の効果の予測を口にすると、レオナさんは今度こそ驚いた様子を見せる。
「何で分かった?」
「何で……って言っても、魔力の流れを見ただけだよ?」
「この街の魔導具はぱっと見じゃ情報を抜けないようにしてるはず。」
「まあ、そこは慣れかな。やっぱり偽装は偽装だから、実際に効果を発揮する部分に比べると流れる魔力も弱いし、制御もされてないしね。それに、結界に関しては僕が使えるから割と詳しいっていうのもあるかな。」
「……成程。また詳しく教えて。改良の参考にする。」
「── ちょっと待ってお兄ちゃん?魔力を見るってどういうこと?」
僕たちがそんな話をしていると、不意にトウカが割り込んでくる。
「え?普通にこう……集中したら見えない?」
「ん。慣れれば相手の使おうとしてる魔法が分かるから、割と重宝してる。……そう言えば、師匠にこのことを言ったら驚かれた。」
「当然だよ!普通の人は、魔力の流れなんて見えないもん!」
僕たちの言葉に、ミリアがそう否定の言葉を発する。
「そうそう。そんなことができるなんて聞いたことがないもん。」
「え〜?普通にできるけどなぁ……。」
「ノアに同意。魔法はこれが出来てからが本番。」
それに続けてトウカからも否定され、僕とレオナさんは互いに顔を見合わせて小首を傾げた後、それぞれそう口にする。
「……とりあえず、2人は学園の授業で魔法の常識を学ぶべきだと思う。」
そんな僕たちに、トウカは半眼を向けながらそう口にする。
「……話を戻して。この魔導具のおかげで、この街の安全は守られてる。」
そんな彼女の視線に耐えかねたように、レオナさんは強引に話を戻しにかかる。
「……って、割といい時間になっちゃってるね。」
同じくトウカの視線に耐えかねた僕は懐から懐中時計を取り出し、そこに表示されている時間を見てそう口にする。
「……なら、寮まで案内する。着いてきて。」
「うん。お願い。」
そんな僕の言葉に、レオナさんはこれ幸いと乗ってくる。そして、僕たちはミリアとトウカからの視線を背に受けつつ、学園の寮へ向かうのだった。
作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。




