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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第三章
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平穏な車内にて

「── で、探知範囲を広げたらレオナさんの気配を見つけたからここに来て、今に至る感じだね。」

「成程。把握。」


僕の持つ封筒 ── "特進クラス"編入の通達が入っていたものだ ── を見、話を聞いてくれるようになったレオナさんに、僕はここまでの経緯を説明する。


「とりあえず、魔法は解除した。……迷惑をかけた。謝罪。」


そう言って頭を下げてくるレオナさん。


「別に気にしてないから大丈夫だよ。ところで……。」


彼女にそう答えつつ、僕はさっきから気になっていたことを聞く。


「── 何でこんなところに?確か街道沿いで待ってるって言う話だったと思うんだけど……。」

「それは、これを見つけたから。」


僕の問いかけにレオナさんはそう答えながら、腰に下げたポーチから金色の毛並みの、額から小さな角を一本生やした兎を取り出す。


「それは……幸兎(フォーチュンラビット)?確かに珍しいけど……わざわざ捕まえるメリットはないような……。」


それを見た僕は、疑問の声を漏らす。


── 幸兎(フォーチュンラビット)は、一角兎(ホーンラビット)の中から稀に出現するモンスターで、幸運を運ぶ兎と呼ばれている。その後脚が幸運を呼ぶっていう噂で、貴族の間で人気なんだけど……実際には何の効果もないし割と強いしで、冒険者の間では割と不人気なモンスターだ。


「欲しいのは、こっち。」


レオナさんはそう言って、幸兎の角を指差す。


「この角が、儀式魔法のいい触媒になる。」

「え?そんな話、聞いたことが……」

「ん。まだ実験段階。だけど、ほぼ確実。」


流石は"真理の探究者"。新しい発見をまるで何でもないことかのように言ってくる。


「それより、聞きたいことがある。時空間魔法が使えるのは、本当?」


彼女の言った新事実に僕が内心驚いていると、そんな僕の内心なんて知ったこっちゃないと言わんばかりに、レオナさんは心なしか目を輝かせながらそう聞いてくる。


「まあ、一応は。……そうだ。」


そこであることを思いついた僕は、そのままレオナさんにこう提案する。


「レオナさん、時空間魔法、実際に体験してみない?」

「本当!?是非!」

「分かった。"転移"。」


僕の提案に勢いよく食いついてくるレオナさん。噂からは想像もできないそんな彼女の姿に少し気圧されつつ、僕は転移の魔法を発動する。


── レオナ=トパズ。学術都市ラピズを中心に活動する冒険者兼研究者で、弱冠16歳にして魔法、錬金術、魔導具関係の分野で様々な論文を発表する天才。"賢者"マーリンの唯一の弟子で、使える魔法の種類、威力、射程、効果、効率のどれをとっても同年代には敵なしで、第一線の専門家にも匹敵する知識と技術を持っている。しかし、自身の功績を誇示せず、また他者に興味を示すことは殆どないことから、"真理の探究者"という二つ名で呼ばれるようになった。……って聞いてたんだけど、魔法のことってなると別なのかな?


僕は助手席でヒョウカとリッカを撫でながら、そんなことを考えていた。


「── へー!光魔法ってそんな使い方もできたんだ!」

「ん。神聖魔法を使える人がいなければ十分。」

「光魔法は精神的なダメージの軽減や回復に特化していると思っていましたが……自然治癒の補助ができるんですね。」

「特殊属性は使えないものも多い。だから、使える魔法で何とか工夫してる。その点、トウカやノアが羨ましい。」


── 女三人寄れば姦しいって言うけど、本当なんだなぁ。……まあ、姦しいって程じゃないけど。


あの後魔導車に戻った僕とレオナさんだったんだけど、レオナさんが魔法の件を謝ると、2人ともすぐに許してくれて、そのまますぐに仲良くなったんだよね。で、ああして魔法の話に花を咲かせている。一応ミリアもトウカも魔法は使えるからね。


「ところでノア。あの雷魔法の色は何?」


すると、レオナさんが不意にそう聞いてくる。


「色?ああ、紫電のこと?それは僕の刀の影響だね。」

「刀?」

「うん。これ。」


僕はそう言いながら、虚空から琥珀を取り出す。


「今のも時空間?」

「え?ああ、うん。」

「まあ、それは後にして……。……ッ!?」


そんなことを呟きつつ琥珀に触れようとするレオナさんだったが、手が触れるか触れないかというところで琥珀からひとりでに紫電が放出され、レオナさんは伸ばしていた手を引っ込める。


「……レオナさんでも駄目、か。……やっぱり僕以外じゃ触れないのかな?」

「……危なかった。今のは?」

「琥珀の性質かな?この刀、僕以外の人が触ろうとするとあんな感じで勝手に迎撃しようとするんだよね。レオナさんくらいの魔法の実力があればもしかしたら紫電が出ないんじゃないかと思ったけど……あの感じだと魔法じゃない原理で紫電が出てるっぽいね。」

「ん。魔法の気配はなかった。それに、あの範囲なら私の領域だった。」

「ちょっとごめん。領域っていうのは何?」


僕とレオナさんがそう考察をしていると、不意にミリアがそう聞いてくる。


「領域は、自分の周りに展開する魔力の層のこと。魔法に精通した人が使える技術。」

「そうだね。領域の特徴としては、領域内に侵入してきた魔法の効果をある程度軽減してくれることかな。極めれば比較的軽めの魔法なら無効化できたりするね。」

「……ん?でもそれって所謂バフとかも弱くしちゃわない?」

「ん。けど、領域は自分の意思で無効化できる。」

「それに、自分の魔法なら効果の軽減はないからね。」

「へー。」


そんなことを話している間にも、僕たちを乗せた魔導車は学園へ向かって走っていくのだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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