邂逅
「── 発動、確認。捕獲成功。」
街道から1kmくらい離れた森の中。倒木の影響か少し開けているそこに、指で作った輪を覗きながら魔導車のある方向を見ながら呟く少女の姿があった。
── 気配の主はこの、夜空のような黒髪を肩より少し上くらいに切り揃えた、藍色の瞳の少女だった。どこか作り物じみたその瞳からは、彼女の内心を読み取ることはできない。
「対象の詳細は不明。攻撃は相殺……新種のモンスターの可能性も ──」
「モンスターじゃなくて乗り物だよ。」
「!?」
木陰から出つつ彼女の言葉に答えると、彼女は大きく肩を跳ねさせて大きく間合いをとる。
「とりあえず、魔法を解除してもらっても ──」
「展開。」
警戒するように僕をじっと見つめる彼女に向け、僕は呼びかける。しかし、その呼びかけが終わるより早く、彼女の背後に魔法陣が展開される。
【確認しました。スキル 魔導書に、風・氷複合魔法 アイスエッジ・ストーム が登録されました。】
瞬間、頭の中に響くナビィの言葉に、僕は慌てて彼女を静止しようとする。
「ちょっと待って!僕は別に敵対したいわけじゃ ──」
「発動。」
しかし、彼女は僕の言葉に耳を貸さず、そのまま魔法を発動する。
── その瞬間、僕に向けて無数の氷の刃が飛来する。それだけだったら普通のアイスエッジと同じなんだけど、魔法の発動と同時に彼女を中心に吹き荒れ始めた突風のせいで軌道が不規則になったせいで、すごく避けづらくなっている。
「ああもう!雷矢、速射×連射!」
圧倒的な敵意が込められたその魔法に、僕は悪態を吐きつつ迎撃を開始する。
── 僕の放った紫電の矢は、彼女の放った氷の刃にぶつかり、互いに消失する。
「……驚いた。迎撃するなんて。しかも、雷。珍しい。それに、あの色……。」
「とりあえず、少し話を ──」
「なら、次。」
氷の刃が全て相殺されたことに少し驚いたような彼女だったが、相変わらず僕の言葉を聞くことなく次の魔法を展開する。
【確認しました。スキル 魔導書に、無属性魔法 バレット が追加されました。】
次に展開されたのは、比較的初歩的な魔法であるバレットだ。この魔法は、本来はただ魔力の塊を相手にぶつけるだけの魔法なんだけど……。
「変性、射出。」
空中に形成された魔力の塊が、彼女の合図とともに様々な属性になって僕に飛来する。基本4属性の炎、水、風、土はもちろん、さっき使ってた氷や雷、光、闇、変わり種の毒なんかもあって、簡単には迎撃できそうにない。しかも、
「ちょっ……!流石に多すぎでしょ……!」
その数が普通じゃなかった。パッと見ただけでも1,000発以上はあるだろうそれを、彼女は僕に向け一斉に撃ち出す。
「|対魔法結界・霧散型《アンチマジック・タイプC》!」
流石に迎撃は無理だと判断した僕は即座に自分の周りに結界を展開し、彼女の弾幕をやり過ごす。
「今度は結界……。」
そう言いつつ次の魔法を発動しようとする彼女より早く、僕は次の魔法を展開する。
「|対魔法結界・領域型《アンチマジック・タイプD》!」
その瞬間、僕たちの周りに結界が展開される。
「!?展開に失敗。再試行 ──」
「無駄だよ。この中だと、あらゆる魔法が展開できないからね。」
突然魔法が発動できなくなったことに、いよいよ彼女は動揺を見せる。そんな彼女に軽く説明をしつつ、僕は虚空から一通の手紙を取り出す。
「……!それは……!」
「とりあえず、話を聞いてもらってもいいかな?"真理の探究者"、レオナ=トパズさん。」
その封筒に小さく目を見開く彼女に向け、僕はそう呼びかけるのだった。
作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。




