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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第二章
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真理の伝導①

「大変なことって?」


僕はコハクの言葉に、そう聞き返す。


「……さっき、寝てる間に真っ白な空間にいたって言ったよね?」

「うん。」

「その空間、どこかで見覚えがなかった?」

「え?えーっと……。」


僕はコハクからの問いかけを受け、あの空間のことを思い出そうと記憶を辿る。


── 見覚え、ねぇ……。不思議と安心する感じはあったけど……。


「あ……!まさか……。」


すると、隣で考えていたトウカがそう声をあげる。


「何か気づいたの?」

「うん。あの空間、アカネさんと会った空間に似てるなって。」

「!」


その声にミリアが問いを発すると、トウカはそう答える。それを聞いた僕は目を見開き、同意の声をあげる。


「確かに!あの空間、コハクと会ったあそこと似てるんだ!……あれ?でも何で……?」


── 確かあの空間って、神様の領域みたいな感じじゃなかったっけ……?


「そう。それがさっき大変なことになったって言った理由なんだ。」


すると、そんな僕の内心を察したのか、コハクがそう口にする。


「ノアのその空間は、多分僕達の領域と同じものだと思う。」

「どうしてそんなものが……?」


そんなコハクの言葉を聞き、トウカがそう声を漏らす。コハクはその言葉に一度頷き、続きを口にする。


「そう。そこが一番の疑問点なんだ。ノアって、何か空間に関係するスキルって持ってたりする?」

「可能性があるとすれば立体機動か時空間魔法かな……ってどうしたの?」


僕が思い当たるスキル名を口にすると、コハクは大きく目を見開く。


「嘘、時空間持ってるの!?……てなると、本当に危ないかも……。」


そして、小さく何かを呟いたかと思うと、一度僕達を見回す。


「……ここからの話は、僕とノア、妹さんとそこの金髪の子だけに話したいんだけど、いい?」


そして何かを確認したかのように一度頷くと、そう口にしたのだった。






「── とりあえず言われた通りにしたけど……僕たちにしか話せないことなの?」


数分後、僕とトウカ、リア以外の皆が退出したのを確認して、僕はコハクに問いかける。


「そうだね。……とは言っても、ノアと妹さんに話したいこととそっちの子に話したいことは別だけどね。」

「そうなの?」

「うん。……まあ、話を聞いてれば分かると思うよ。……とりあえず、朱も呼んじゃうね。」


そう言うと、コハクはしばらく宙を見つめる。すると、部屋の中央に朱い火が灯り、そこから炎と同じ燃えるような朱色の髪と瞳をした、一人の女性が姿を現す。


「ほう……なかなかいいところじゃな。」

「朱。それもいいけど説明、するよ。」

「おっと、そうじゃったな。」


彼女は炎から出てくると、周囲を見回しそう口にする。そんな彼女にコハクが声をかけると、女性はそう答えつつ用意してあった椅子に座る。


「さて……まずは自己紹介からじゃな。妾はアカネ。こっちのコハクと同じ、"四神の箱庭"の管理者じゃな。」

「初めまして。ノア=シストです。」

「ミリア=グリーツです。」

「うむ。ノアにミリアじゃな。」


── コハクと同じ、って言ってたし、炎に関係ありそうだし……。……多分、アカネさんは朱雀かな……。


そう言って頷くアカネさんを見ながら、僕はそう考える。すると、


「む!?妾のことを知っておるのか!?」


と、アカネさんが反応を見せる。


「な、名前だけですけど……。」

「それでも十分じゃ!……そうか、妾たちのことを知っておる者がいるとは……。」


そう言うアカネさんは、どこか感慨深そうだ。


「それより、話っていうのは……。」

「あ!そうだった。」


そんな彼女の様子を見つつ僕がそう問いかけると、コハクが今思い出したというような声を上げる。そして、真剣な顔になると、


「話っていうのは、ノアとトウカさんの身体についてなんだ。」


と、静かに言うのだった。


「僕たちの……。」

「身体……ですか……?」


そんなコハクの言葉に、僕たちは首を傾げる。


「うん。……ノアは、あのフェンリルから受け取ったもの、覚えてる?」

「あー……あの文字化けしててよく分からなかったやつのこと?」


僕の言葉に、コハクは頷く。


「文字化けしてたなら多分伝わらないと思うけど……。……あの"神の因子"は、文字通り神格に至るために必要なものなんだ。」

「"神の因子"?」

「そんなもの、聞いたことがないですけど……。」


僕たちがそう声を漏らすと、コハクとアカネさん、そしてミリアが驚いたような顔で僕たちを見る。


「嘘っ!?」

「今のが聞こえたのか!?」

「私は変な音としてしか聞こえなかったんだけど!?」


そして三人は僕たちに向けそう口にする。


「マジかぁ……そうなると、本当に不味いかも……。」

「……すまぬな。妾が無理を言ったばかりに……。」

「いや、あの時はあれが最適解だったし、仕方ないよ。」


そしてコハクとアカネさんは小さな声でそう話し合いを始める。


「……でも、そこまで聞こえるようになってるってことは、逆に知識がないと危ないよね……。」

「……そうじゃな。」

「はぁ……。……今日はここまで伝えるつもりじゃなかったんだけどなぁ……。」

「仕方ないじゃろ。まさかこの短期間でここまで適応するとは思ってもなかったしの。」

「……まあ、トウカさんの方はまだ因子を持ってないのが救いかな。」


そう言うと、コハクは一度息を吐き、僕たちを見る。


「三人とも、ここからのことは絶対に他言無用だよ。」


そんなコハクの言葉に僕たちが頷くと、コハクは口を開く。


── そして、コハクの口から語られたのは、この世界の秘密にかかわることだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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