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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第二章
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蝗帷・槭?邂ア蠎ュ①

「ここか……。」


不自然なほど綺麗に円形に斬り拓かれた『魔の森』の一画。そこの真ん中でぽっかりと口を開けているダンジョンの入り口を見つつ、僕はそう呟いた。


僕たちが今いるのは、僕たちがこの帝国に来た形式上の目的である、新ダンジョンの入り口だ。


「なんか身に覚えがあったから来てみれば……。本当にここだったよ……。……まあ、考えてみれば当然なんだけど。」


記憶が戻ったことを父様に報告した後、このダンジョンについての詳細な情報を知らされた僕は、その特徴的な立地から、ここがあの時、全てが消滅した場所だと確信していた。


「でも、驚きだよね〜。まさかこのダンジョンができた理由にノア君が関わってるかもしれないなんて。」

「僕としては、そんなつもりは全くなかったんだけどね……。」

「とりあえず、入ってみよう。……まずはそこが、1つの障害だから。」


そんなトウカの言葉に従い、僕たちはダンジョンに足を踏み入れる。


「──?」

「気づいた?」

「なんだろう……変な感じが……結界?」


ダンジョンに入った瞬間、僕は普通のダンジョンにない、膜を通り抜けたような感覚を覚える。


「多分ね。このダンジョン、ほとんどの人が入れないみたいだから。」

「ほとんど、ね……。……となると条件は、"『聖』の字のつく上位の天賦(ギフト)持ちなこと"かな?」

「……お兄ちゃんって、ほんとすごいよね……。私たちが結構な人を動員してやっとたどり着いた仮定にすぐに辿り着いちゃうんだから。」

「まあ、さっきの言葉とこのメンバーを見ればなんとなくは予想がつくよ。『剣聖』に『刀聖』、『盾聖』に『聖女』だしね。」


そう、今回このダンジョンを調査する僕、ミリア、トウカ、それにレオンは全員『聖』の字のつく天賦持ちだ。


「……ノア様、とりあえず先に進みましょう。」

「うん、分かった。……それよりレオン、その口調やめてって言ったよね?」

「……私はノア様の護衛なので。」


そう、レオンは、行方不明になるまでは僕の護衛をしてくれていたんだ。僕がいなくなってからはトウカの護衛をしつつ情報を集めてたらしい。


「だけど、今の僕は"ノア=シスト"じゃなくて"冒険者ノア"なんだよ?先輩に固く接されるのもおかしいじゃん。……今後、嫌でもそういう場面は出てくることになるだろうから、さ。その時のための事前練習だと思ってさ。」

「……分かり……分かった。これでいいか?」

「うん。……それじゃ、行こっか。」


不承不承、といった感じで口調を変えたレオンに頷きつつ、僕はダンジョンの先を見据える。


「とりあえず、不意打ちに警戒しつつ進むよ。」




「── これ、本当にダンジョン?」


ダンジョンの通路に、そんなミリアの声が響く。


「ダンジョンを攻略し始めて大体1時間くらい経ったよね?これで4階層だけど……。」

「1回も戦闘がない……。」


ミリアの言わんとした疑問を、トウカが口にする。その横では、レオンも首を捻っている。


「確かに戦闘はなかったけど、モンスターがいない訳ではないよ。……事実、見られてる感じはあったしね。」

「え?じゃあ何で襲ってこないの?」

「……それは多分、このダンジョンの特性に関係してるんじゃないかな……。……よし、解けたよ。」


僕は手元でいじっていた立体パズルを解き、壁の凹みに押し当てる。パズルは抵抗を感じさせることなくすっとその凹みにはまり、それと同時に奥にあった扉からカチリ、と音がする。


「多分このダンジョンは、試練に近いんだよ。」

「試練?」

「大方、この先に進む資格があるのかどうかを、方法は分からないけど測られてるんだろうね。それを満たしているって判断されたから、ここまで襲われることなく来れたんだと思うよ。」

「……仮にそうだとしたら、この先には何があるんだろう……。」


僕のそんな言葉に、トウカが考え込み始める。


「それは、僕にも分からないかな……。ただ、1つ確実なのは、もうすぐこのダンジョンが終わるってことかな。」


扉の奥にある、次の階層への階段。今までと違い、明らかに重厚な雰囲気のあるそれを見つつ、僕はそう答える。


「この先に行けば、自ずとそれも分かると思うよ。……皆、準備はいい?」


僕の問いに、全員が頷く。


「よし。……それじゃ、行くよ。」


それを確認し、僕たちは階段を降りていくのだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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