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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第一章
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認定式へ

「おう。来たか。」


『雪下の誓い』初めての依頼を達成してから数日後。僕は認定式に出席するため、グレンさん(ギルマス)の部屋に向かっていた。


「とりあえず言われた通りの格好で来ましたけど……。本当にこれで大丈夫なんですか?」


そんな僕の格好は、いつもの装備の上から暁の外套を身につけた、ダンジョンを攻略する時のままの格好だ。腰には風流をさげている。


「大丈夫だ。見る人が見ればそれがいい装備だとわかるし、それがわからないような奴はSランクにはなれないからな。」


グレンさんは外套と風流を見ながら言う。


「まあ、変に気張らず気楽にいればいいさ。……とりあえず、行くか。」


そう言うとギルマスは懐から転移結晶を取り出し、それに魔力を流す。


「あれ?転移結晶って割って使うんじゃ……?」

「ああ、普通はそうだがこれは特別性だからな。これで跳べるんだよ。」


僕たちがそんなことを話している間にも足下に魔法陣が展開されていき、僕たちは転移した。




「よし、問題なくついたな。」


僕たちが転移した先は、白い石で造られた部屋の中だった。


「ここが……?」

「ああ。冒険者ギルド本部だ。認定式の後はこのラースの街を散策できるから、気になるところがあれば寄ってみるといい。じゃあ俺はここから別行動になるから、アルバート、後は頼んだぞ。」


そう言って、グレンさんはどこかへと歩いていく。


「私たちはこっちだから、行こうか。」


そんなアルバートさんの言葉に従い、僕たちは待機室に向かうことになった。




「……着いた。ここだよ。」


歩くこと数分、僕とアルバートさんはとある部屋の扉の前にいた。その扉の奥からは、さまざまな気配がする。そのどれもがその辺の冒険者やモンスターとは比にならないレベルの大きさだ。


── 確かに気配はすごいけど……。……なんか思ってたほどじゃないな。少なくともあのダンジョンの下の方のモンスターの方が大分強い気配してたしなぁ……。


……でも、何でだろう。何か、懐かしいような気配がする。


「……大丈夫かい?確かに中の人たちは強いけど、変にノア君に敵対するようなことはないと思うから安心していいよ。」


扉の前でじっと立ち止まった僕に、アルバートさんはそう声をかけてくる。


「大丈夫です。ちょっと不思議な感じがしただけなので。」

「……そう。……じゃあ、開けるね。」


そう言ってアルバートさんは扉を開く。その中には、9人の男女が円卓の周りに座っていた。


「……うん。これで全員揃ったね。」


その中の1人、少し癖のある金髪に翠色の瞳の青年がそう口にする。かなり整った顔をしており、腰には一本の剣を佩いている。ここにいる人たちの中でも特に大きな気配の主だ。


「すみません、待たせてしまいましたか?」

「いや?大丈夫だよ。彼女たちも今さっき着いたところだしね。」


そう言いつつ彼はとある少女の方を見る。つられてそちらを見た僕は、少なくない衝撃に襲われることになる。


── そこにいたのは、法衣に身を包んだ、1人の少女だった。見るからに特別感のある法衣を見れば、彼女が創世教の中でも高い地位にいることが誰にでもわかるだろう。


だが、僕が衝撃を受けたのはそれが原因ではなかった。肩のあたりまででまとめられた彼女の髪と肌は僕と同じ雪のような白色で、その瞳はそんな肌によく映える、宝石のように赤い色をしていた。そして彼女の顔は僕に似ており、何も知らない人が見たら僕と彼女を血縁か何かと勘違いするだろう。そして僕は、そんな彼女の顔を見たことがある。


── 彼女、多分あの時の夢に出てきてた子だよね……。となると……?


そんなことを思いつつ僕が彼女を見ていると、彼女も僕の方を見る。そして彼女の視線が、僕の視線と交錯する。


その瞬間、僕と彼女の間に何か(・・)が走る。彼女は大きく目を見開き、何かを言おうとするが、


「それじゃあ全員揃ったことだし、一応自己紹介をしていこうか。」


と言う金髪の彼の言葉に遮られる。僕は唯一空いていた、彼女の隣の席に座りつつ、小さく言う。


「後で、少しお話しできるでしょうか。」


そう僕が聞くと、


「はい。……私も1つ、聞きたいことができたので。」


と、彼女は答える。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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