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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第一章
32/57

「雪下の誓い」の証

「ただいま!」

「うん、おかえり。」


あれから数分後。ミリアが雪晶花スノークリスタルフラワーを採ってきたのかおもむろに戻ってきた。


「どう?いいのあった?」

「うん!これ!」


そういって彼女は一輪の雪晶花をこちらに差し出してくる。


「これ、ノア君にあげる!」

「これは……フリージア、だっけ。」


それは透き通った水色の花だった。まるで澄んだ朝の空のような色をしたその雪晶花からは甘く爽やかな香りがほのかに漂ってくる。


「でも、いいの?こんな貴重なものを僕がもらっちゃって。」


そう、雪晶花は非常に貴重であり、変質済みのものであってもその美しさから美術品として取引されることもあるほどだ。今回の依頼でも変質済みのもので構わないということだったほどだ。


「うん!……できれば、雪晶花を私たち『雪下の誓い』の印にしたくてね。」

「なるほどね。なら、ちょうどいいかも。これ、あげるよ。」


僕はそう言って、さっき作ったネックレスを彼女に渡す。


「うわー!すごい綺麗!これ、中に入ってるのって……。」

「うん。僕が触った雪晶花だよ。」

「へー!……でも、この短時間でどうやって作ったの?」

「実は、便利な魔法があってね……。」


僕はそう言いつつもう1つ水晶を取り出し、


「縮小……転移……保存。」


と、3つの時空間魔法を発動する。


「こうすれば簡単にできるよ。」


僕がそう彼女に言うと、


「確かに簡単そうに見えるけど……絶対難しいよね、これ!?あれをやろうと思ったら確実に繊細な魔力操作と正確な空間認知が必要になるでしょ!」

「確かにそうだけど……。そもそも時空間魔法を習得しようと思ったらこのくらいのことはできないと無理だしね。」


そう、時空間魔法は他の魔法と違ってスキルの書(スキルブック)が見つかっていない。というより、僕が適当に魔力をいじってたらたまたま見つけたものだから、もしかするとその中に何か条件があったのかもしれないしね。


「まあ、習得しようとしてもかなり時間はかかると思うから、あんまりお勧めしないけどね。」

「ちなみに、習得しようとしたらどのくらいかかるの?」

「うーん……。多分10年くらいかかる気がするなぁ……。」

「そんなかかるの!?」

「これでも早い方だよ?ほとんど使ってるとこ見たことないけど、ミリアって光魔法使えたよね?」

「うん。一応上級までは使えるようになってるけど……。」

「それならもう少し早いかもしれないけど、あれはコツを掴むまでが難しかったからなぁ……。多分普通の人なら20年はかかる気がするから、十分だよ。」


今思えば僕があんなに早く時空間魔法を習得できたのも、ひとえに雷魔法が使えたからだろうし……。それがなかったら、多分習得できてなかっただろうし……。


「まあ、仮に使えるようになったとしても使い勝手がいいのはこの虚空だけだし、あんまりメリットはないかな。」

「え?でも転移とかできたらだいぶ便利なんじゃ……?」

「あんまりかな。あの魔法、燃費悪いし。戦闘中に使おうと思ったら、戦闘中に正確に空間を把握して、その上で魔法を発動した後に体勢を崩さないことも必要になってくるから、さらに訓練が必要になるしね。」


ちょっと目測を見誤ってそれこそ足が地面に埋まって動けなくなるなんてことになったら目も当てられないからね。僕も戦闘て使えるようになるまではだいぶかかったし……。そもそも転移の燃費が悪すぎるんだよ……。1mごとに1MP、一見燃費が良いように見えるけど、長距離移動には向いてない。緊急脱出用に使うとしてもそもそもそんな状況じゃMPも残ってないと思うし……。今考えると本当に使うのが難しいな、これ……。


「へー……。色々難しいんだ……。」

「だからこそ、使えると強くはあるんだけどね。MPがバカみたいに多ければそれなりに使い道はあるだろうし。」


まあ1,000MPくらいあれば、それなりに日常生活では使えるだろうしね。……そんな人、滅多にいないけど。


「とまあ、雑談はこのくらいにして……。……帰ろっか。」

「え?もう?」

「あんまりダンジョンに長居しすぎるのも良くないしね。」

「分かった!」

「じゃあ、僕の手をしっかり握って。」


僕はそう言いつつミリアに手を差し出す。


「何があっても離さないでね。……転移。」


その声を最後に、僕たちはダンジョンを後にした。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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