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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第一章
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精霊の花園

「ノア君、この先、何があると思う?」


壁の奥から現れた隠し通路を進んでいると、ミリアが僕にそう聞いてくる。


「うーん……このくらいの階層だと、レアなスキルの書(スキルブック)があってくれたら嬉しいかな。」

「そうだねー。何があるかな?」


そんなことを話しながら進んでいると、僕の索敵に反応がある。


「ストップ。反応があった。」


僕はそう言って、立ち止まる。


── 何だ?小さくて飛んでる何かが、僕の魔力を吸ってる……?モンスター……にしては敵意がないし……。


「どう?何かわかった?」

「……この先にいるのがモンスターじゃない、ってことくらいかな。とりあえず危険はなさそうだし、行ってみようか。」


とりあえず、実際に見てみないことにはわからない。僕たちは若干警戒の度合いを高めつつ、さらに奥へと向かっていった。


「……そろそろ、終点だね。」


あれから数分後、僕たちはようやく隠し通路の終点に辿り着こうとしていた。そんな僕たちの目の前にあるのは、大きな一枚の扉。


「まだよくわからない反応はあるから、気をつけてね。」

「分かった。」


僕たちは警戒心を忘れないようにしながら、扉を開く。


「うわぁ……!」

「これは……すごいね。」


扉の先にあったのは、色とりどりの花が咲き誇る庭園のような場所だった。ダンジョン内にも関わらず、まるで太陽の温かな陽射しを浴びているかのような穏やかさだ。よく見ると、それらの花は全て雪晶花スノークリスタルフラワーだ。


「すっごい綺麗だね!」

「う、うん……。」


どうやらミリアには、見えていないようだ。花の周りを飛んでいる、さまざまな色の光の球は。


すると僕たちの前に、一際大きな光の玉が飛んでくる。それは僕たちの目の前で停止すると、一際強く光り輝く。


「ようこそお越しくださいました、お客様!」


光が収まった後にそこにいたのは、身長20cmくらいの、小さな少女だった。澄んだ空のような蒼色の髪に、同じく蒼色のノースリーブのワンピース。その背中には、透き通った2対の羽がついている。


「君は?」

「ん?どうしたの、ノア君?」


彼女に問いかける僕を、ミリアが不思議そうな顔で見てくる。やはりミリアには見えてないようだ。


「え、私のこと見えるの!?凄い!私が見える人なんて、滅多にいないのに!」


すると小さな少女は驚いたようにそう言う。


「私はソラって言うんだ。精霊王様からこの『精霊の花園』の管理を任されてるの。」


そして、そう自己紹介をしてくる。


「ミリア、ちょっとここで待っててくれる?」

「?いいけど……?」


不思議そうなミリアを入り口に残し、僕は再びソラに問いかける。


「さっき、精霊王様って言ってたよね?と言うことは、君も?」

「うん。私もれっきとした精霊だよ。」


やっぱりか。ミリアに見えてなかった時点で何となくそんな気はしていた。何で僕には見えるのかはわかんないけど……。


主様(マスター)の持つスキル 魔導 の効果によるものだと考えられます。恐らく、魔力の流れが見えているのかと。】


すると、ナビィがそんな推測を提示してくる。確かに言われてみれば、その姿は細い線で描かれた絵のようにも見える。


「とりあえず、精霊王様が奥でお待ちになってるから、着いてきて!」


するとソラが、花畑の奥へと飛んでいく。僕は彼女を見失わないよう、急いで後を追いかけるのだった。




「着いたよ!」


入り口からしばらく歩き、僕は庭園の中にある東屋のような建物にたどり着く。そこには、1つの人影があった。


その人影は、美しかった。天井からの光を反射して数多の色に輝く髪に、宝石のような虹色の瞳。その整った顔には微笑を浮かべており、この空間も相待ってどこか現実離れしたような雰囲気を纏っている。


「おや、お客さんかな?」

「はい。私たちのことが見えているようだったので、連れてきました!」

「そうか。ありがとうね、ソラ。……ところで、君は何という名前なのかな?」

「あ、僕はノアです。」

「ノア君、ね。ところで、君はどうしてここに?」

「ダンジョンの攻略をしていたら、不思議な感じのする壁があって、それを壊した奥にあった通路を通って、ここまできました。」

「なるほど。つまり君には、十分な素質があったわけだ。」

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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