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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第一章
23/57

予定

その後ギルドに向かった僕たちは、ギルドマスターとサブマスターにも僕の封印のことについて話すことにした。


「── というわけでして……。」

「……つまり、お前には封印がかかっているが、それを無闇に解除するのは危険、ということか?」

「そうですね。その認識で大丈夫です。」

「はぁ……なるほどな。正直、封印の解除だけだったら手っ取り早かったんだが……。」

「あ、ちなみにこの封印、完全に解除しようと思ったらエリクサーが3本くらい必要みたいです。」

「……は?」

「……え?」

「……そこまで強い封印があるのですか?」


僕がそう言うと、三者三様の反応を示してくる。そりゃあそうだろう。エリクサーは、ひと雫で死に瀕したあらゆる生物を全快まで治癒し、現在確認されているあらゆる状態異常を解除すると言われている魔法薬(ポーション)だ。それを数本使わないと解除できない封印なんて、未だ確認されていないのだから。


「まあ、僕が封印された記憶に強く関連する経験をしたりすれば徐々に封印は解けていくらしいので、とりあえずは放置しておくのが正解かな、と。」

「そうですね。エリクサーでも無理となると、それが正解でしょう。」

「だな。……ところで、要件はそれだけか?」

「あ、いえ。本題はこっちです。」


僕がそう言うと、ミリアはパーティーの申請書を取り出す。


「実は、私とノア君でパーティーを組もうってなったんです。」

「成程な。その申請のため、こんな朝早くから来たわけか。……承諾自体は問題ないが……アルバート、どう思う?」

「……正直、ミリアさんがどこまで覚悟しているかによりますね……。この2人でパーティーを組むことになった場合、確実に2人の間の実力差が問題になります。そこでミリアさんが変に落ち込んだりせずにいられるか……。」

「大丈夫です。覚悟は出来ているので。……そもそも私じゃ歯が立たなかったミノタウロスを一撃で倒してる時点で、ノア君との実力差は嫌と言うほど実感してます。」

「そうか。……わかった。あとで登録を済ませておく。」

「それじゃあ、僕たちはこれで……。」

「あ、ノアはちょっと残ってくれ。」

「わかりました。……ミリア、悪いけど先に行ってて。」

「分かった!下で待ってるね!」


そう言うと彼女は一足先にギルマスの部屋を退出する。


「で?何の話ですか?」

「認定式の細かいスケジュールが決まったから、伝えておこうと思ってな。」

「あ、決まったんですか。」

「ああ。……当日は俺とアルバート、お前の3人で本部へ向かう。転移結晶で向かうことになるから、当日はここに集合だ。そして転移後は、Sランク冒険者と新しく入った奴との間で顔合わせ会がある。俺は同行できないから、アルバートについていってくれ。で、それが終わったら式典だ。正直前に出て一般の礼儀に反しない受け答えをすれば問題ない。それが終わればあとは自由に過ごせるから、お前は顔合わせのことを第一に考えておけ。……Sランクに慣れるのは逸般人だけだ。どいつも癖がある奴らばかりだから、全員と敵対だけはしないようにしておけ。」

「わかりました。……今回認定を受けるのは僕1人ですか?」

「いや、帝国の聖女も同時に認定を受けるはずだ。何でも、史上最年少なんだと。」


── 聖女、と言うと、クリスタ帝国のか。冒険者をやっていれば、彼女の噂はいやでも聞こえてくる。何でも、史上稀に見るレベルの神聖魔法の使い手で、ドラゴンゾンビを一撃で浄化し、その祝福(かいふく)はエリクサーによるそれと同等らしい。それでいて無償で傷ついた人を治しているらしいから、Sランクになるのも当然だろう。……あれ?改めて考えてみると……僕って何?特に目立った活躍も名声もない無名の僕が、いきなりSランクになるって……少なくとも、歓迎はされないだろうな。だからと言って実力を示す手段もないし……。……やばい、考えたら胃が痛くなってきた……。


「ん?どうした?」

「いえ、改めて考えると僕って謎の存在だよなー……と思いまして。」

「ああ……確かにな。……だが、心配することはないと思うぞ?少なくともアルバートがいるからな。」

「確かに、そうですね。」

「俺からの話はこれで終わりだ。まあ、新パーティー結成の記念として何かクエストでも受けてってくれ。」

「わかりました。それでは。」


そう言って、僕も部屋を後にする。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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