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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第一章
21/57

日課

階段を降り、僕は入り口近くの休憩スペースへ向かう。こぢんまりとしているもののどこか落ち着く雰囲気の漂っているそこにある小さな椅子に、ミリアが座っていた。彼女はこちらに気づくと、駆け寄ってきて話し始める。


「あ、ノア君!こんな朝早くにごめんね?」

「いや、ちょうど目が覚めたところだったからいいんだけど……。……こんな早くにどうしたの?」


すると彼女は、一枚の紙を取り出す。


「これに名前書いて欲しいの。」

「えーっと何々?……あー、パーティーの申請書か。……これでいいかな?」


僕はそこに書かれている文章に不自然なところがないことを確認し、ささっと記名する。


「うん!あとはこれをギルドに提出すれば、パーティー結成だよ!」

「……でも、こんな時間じゃ多分、ギルド開いてないよね?開くまでの間、どうするの?」


僕がそう聞くと、


「……確かに。どうしよう?」


と彼女は言う。


「まさか……ギルドの開館時間、考えてなかった?」


彼女は頷く。


「えー……。……こんな時間からやってるような店も少ないし……どうしようか?」

「……あっ、そうだ!どうせだったら、いつもノア君がやってる訓練の様子を見せてよ!」

「……特に面白いこともないと思うけど、いいの?それに、着いてくるだけでもかなり辛いと思うけど……。」

「大丈夫!これでも結構体力はある方だから!」


彼女は胸を張って言う。


「……そう?……じゃあ早速、この王都の外周を5周するよ。」


僕がそう言うと、ミリアは少し固まったあと、恐る恐るといった感じで聞き返してくる。


「あ、あれ〜……?聞き間違いかな……?なんか、王都の外周を5周って聞こえた気が……。」

「そうだよ?」

「王都外周って、一周12〜3kmくらいあるよね……?」

「うん。だからできるだけ体力だったりスピードだったりのロスを減らすいい訓練だよ?」

「……私は一週だけにしておこうかな……。」

「そうだね。慣れてない人はそのくらいから始めた方がいいかな。……それじゃあ、早速行こっか。」


そう言うや否や、僕は時空間魔法で戦闘用の装備に一瞬で着替えると、走り出す。


「あ、待って!」


一瞬遅れて、ミリアも僕の後を着いてくる。


── 2時間後 ──

「この短時間で本当に5周した……。」


どこか呆れるように僕を見るミリアを横目に、僕は今日のランニングの評価をする。


── 今日は調子が良かった。雷魔法を使った増強(バフ)も上手くいったし、これからの探索の幅も広がりそうだ。


「というか、1周目とそれ以外とで全然速度違わなかった?」

「ああ、それなら魔法を使ってたからだね。」

「……あれ?ノア君って魔法使えたっけ?」

「最近使えるようになったんだ。」

「ちなみに属性は?」

「雷属性。」

「希少属性じゃん!すごいね!?」

「たまたま適性があっただけだよ。……まあ、そのせいで想定以上に早くランニングが終わっちゃったんだけど。」


想定だとちょうど日の出と同じくらいになる予定だったんだけど、まだ日の出の気配は遠い。


「刀の訓練は今やるのは違うし……ミリア、なんかやりたいこととかない?」

「うーん、そうだなぁ……。……そうだ!ノア君が使えるようになったっていう雷魔法を見せてよ!」


そんな彼女の言葉に、僕はこう答える。


「うーん……。僕的には見せても問題ないんだけど……いかんせん威力がなぁ……。」

「え?そんなにすごい威力なの?」

「いや、まだ使ったことがあるわけじゃないんだけどね?さっき使った増強もそうなんだけど、どうも想定より威力や効果がだいぶ高いんだよね。」

「……確かに、それは不安だね……。」


確実に威力がわかっていない魔法の怖さを知っているからか、ミリアの反応も悪い。


「……あ、そうだ。一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「んー?何かな?」

「この紋章に、見覚えってあったりする?」


僕は懐中時計を取り出し、ミリアに見せる。その蓋には、かなり薄くなってはいるが、藤と虎のような動物をモチーフにした紋章が見える。


「……んー、どこかで見たような気もするんだけど……。……だめだ、わかんないや。」

「まあ、知ってたらラッキーくらいで聞いたから何の問題もないよ。」

「それって、誰かからもらったものなの?」

「実は ──」


僕はミリアに、さっき見た夢と封印のことについて話すことにした。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
王都の外周にしては少し短いかなぁと感じました。 面白いので頑張ってください。
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