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この世で一番憎い人が死んだ。
28。この間死んだ隣のじいちゃんは85だった。
半分も届いてないことくらいオレにも分かる。
どうせならこの手で苦しめるだけ苦しめたかったのに。
神様とやらはあいつにだけ優しいらしい。
店長とその他、俺の知らない人たち。
「あの中に俺の半身分はいるんだろうか」
そんなことを考えながら周りを見渡していたオレの前にでっかい影が伸びた。
「あそこで寝てるのって僕のママ?」
でっかい影はゆっくり小さくなってオレに話しかけてきた。
「寝てんじゃねぇよ。死んでんの。オッサン、そんなこともわかんないの?」
寝てるなんて。おこちゃまじゃねぇんだからそんなことくらいわかる。
「ごめんね。おじさん、小さい子と話すの上手じゃないんだ...」
「あ、小さい子じゃないよね...ごめんね...」
何でこんなに謝るんだ?
オレは借金取りでも管理人のジジイでもないのに。
「謝んのやめろよ。気色わりぃっ...」
「ごっ...えーっと...うん...」
ようやく謝ることをやめたそいつはもっと小さくなって
「謝るのはもう止めにするから!僕の話、聞いてくれる...?」
と話し始めた。
「いい話?」
「おおよそ...?」
「何ではてなが付いてんだよ」
「じゃあ、いい話!」
「本当かよ...」
俺がそっぽを向くとそいつは俺の視界を追いかけてきた。
「本当だから!お願いだから話しを聞いて欲しいな...?」
「もう、わかったから!なんだよ!」
そいつの視線から逃れるようにまたそっぽを向いてからオレは答えた。
「じゃぁ、僕の目を見て?」
「んなことするわけ...」
「大事なことだから。ねっ?」
そう言われて渋々片目だけそいつの方を向いた。
「本当は体ごとが良かったけど...初対面だしね!」
驚いた。いや、驚いたって表現が合ってんのかわかんねぇ。
片目に入ってきた大きな影のそいつは、女子たちの好きそうな少女漫画の主人公みたいなやつだった。
「初めまして!僕の兄貴に立候補します!甲斐就士です!」