ゴブリンの将軍 ①
薬草摘みクエストを受けて、私たちはノルマの薬草10個を摘みに森の中にある薬草が生えている場所に向かった。
薬草を拾い、それぞれノルマを達成。帰り報告する。
進級のためにはそれぞれのランクの依頼を3つ以上クリアする必要があるらしい。
Fランクのクエストは4つ常設依頼があり、そのうち2つは魔物の討伐系。つまるところ、魔物の討伐クエストは否が応でも一つはやらなくちゃいけないようだ。
「まだやるか」
「はい! このゴブリン討伐クエストにしませんか?」
「いいね。それにしよう」
私はクエストを受ける。
ゴブリンはギノツ町の北東部にあるブンゴリ山という山に主に生息しているらしい。麓でゴブリンの下っ端が歩いているからそいつらを倒せということだった。
私たちは歩いてブンゴリ山に向かう。
ゴブリンが3体、棍棒を持ち歩き回っていた。
「ノルマは10体だよな」
「はい。3体しかいませんからまだ7体探さないといけませんね」
「1匹逃がすか」
「仲間呼ばせるつもりですか?」
「そのほうが楽だろ」
「ですね」
私たちは茂みから飛び出して、ゴブリンに襲い掛かった。
ゴブリンは不意を突かれ、振り返った瞬間に私の拳がゴブリンの顔にめり込んだ。ゴブリンは吹っ飛び、木に激突。一発では仕留め切れなかったようなのでもう一撃追加でぶち込んだ。
さすがに火力が足りないか。
「サン、仕留めたか!?」
「はい! なんとか」
「よし、ゴブリンよぉ、これで2対1だな。どうする? 仲間に泣きつくか?」
ゴブリンは棍棒を構え私をにらんでくる。
だがしかし、ゴブリンは考えなかった。逃げることもせず、ただただ棍棒を振り上げこちらに走ってきたのだった。
「チッ、逃げ帰らねえほど馬鹿なのか!」
「仲間を呼びに向かわせる作戦は無理ですね」
私はゴブリンの背後に回り込み、大外払いで転ばせる。そして、サンが首元に剣を突き刺したのだった。
ゴブリンは最後のあがきで剣をつかんだが、そのまま絶命、消えていく。
「仕方ねぇ。また探すか……。この山にはゴブリンの親玉がいるらしいから、そいつには会いたくねえが」
「いや、時すでに遅しみたいです、よ?」
サンは山のほうを指さした。
そこにはほかのゴブリンとは違う、でかい図体のゴブリンが南蛮刀を手にして歩いてきていた。その目は私たちに向けられている。
私は拳を構えた。
「勝てると思うか、サン」
「わかりません……。でも、ほかのゴブリンよりは強そうですし、ゴブリンジェネラルですし」
「ぜってえ強いよな」
ゴブリンジェネラルは刀を構えた。
そして、そのまま斬りかかってくる。サンが刀を受け止めるが、はじかれたのだった。サンは思い切り後ずさりする。
私はその隙をついてゴブリンジェネラルの顔面をぶん殴った。
「オラァアアアア!」
ゴブリンジェネラルが地面に激突し跳ねる。そして、すぐに立ち上がった。
「ダメージは入るな。うまくいけば勝てる。が、力負けはするな」
「はい……。思った以上に強い力だったので弾かれました」
「一瞬隙を作れればそれでいい。ダメージが入るんならワンチャン勝てるぞ。ここで引くほど臆病に生きるつもりはねえだろ?」
「はい、もちろんです!」
サンは再び剣を構える。
やる気満々、テンションがぶちあがるな。