職業
サンとともに隣町のギノツ町という場所を歩いているとリマジハの町にはなかった看板が見えた。
武器屋でもなく、酒屋のような感じの雰囲気。だがしかし、プレイヤーも数人いるようだ。ここはどこだろうか。
私はとりあえず受付らしいところに向かう。
「すんません、ここは?」
「ここはトラビナ王国冒険者ギルド、ギノツ町支部です」
「なるほど。冒険者ギルド……」
「冒険者ギルド! 異世界ファンタジーものでは定番ですよね! ここからチート能力がわかって主人公がチートしていくんですよ!」
「いや、これゲームだからそういうのねえよ……」
「……ですね。期待してたんですが」
しゅんと落ち込んでしまったサン。
どんだけ興味があるんだ……。
「というかサン、お前そういうの読むんだな」
「え? ああ、暇なので読むんです。ファンタジー好きなんですよ。現実には存在しないものがファンタジーの世界にはいるんです! ロマンがあるでしょう?」
「まぁ、わからなくもねえな」
「それで、本日はどのようなご用件でしょうか」
「ん、ああ、ここでは何ができるの? 私たちとか登録できたりする?」
「はい。可能です。登録する場合、必要な書類にサインをいただきます」
「わかった。登録する」
私は書類を渡され、自分のプレイヤーネームを書いていく。
かき終わった後、自分の使用する武器種を尋ねられた。私は拳と答えると、職業は武闘家にしますかと聞かれた。
職業?
「職業について説明が必要でしょうか」
「あ、うん。頼むっす」
「かしこまりました。職業とはその人の武器種によっておすすめされるものです。職業につくと、ステータスが少し増えます。職業によって上がるステータスは違いますのでご注意くださいませ。また、職業にはランクというものがあり、進級試験を受けた場合、上位職業に就くことも可能です。また、冒険者ギルドで紹介する職業以外にも、困ってる人を助けた場合などに就くことができる職業もございます」
なるほど。
縛りプレイ以外ではついたほうがいいかもな。私は武闘家になると告げると、職業が決定しましたというアナウンスが流れた。
《スキル:気功 を取得しました》
というアナウンスが聞こえた。
「わ、スキルというものをゲットしました!」
「職業に就くと、スキルが一つ授けられます」
「なるほど。職業スキルってやつか」
「はい。転職するとそのスキルは消えてしまい、別のスキルになりますのでご注意ください」
「うっす」
なるほど。
気功という効果は、時間が経つごとに体力がちょっとずつ回復していくものらしい。回復量はそこまで多くないだろうからあまり役立つとは言えないだろう。
「冒険者登録を完了いたしました。冒険者について何か説明が必要でしょうか」
「ああ、お願いする」
「かしこまりました。冒険者はFからSSランクまで存在し、冒険者ギルドが指定するクエストを複数個達成しますと進級試験が受けられます。高くなればなるほど、行ける場所も増えます」
「行ける場所……」
「冒険者ランクが高くなければ入れない場所もございます」
「なるほど」
冒険者ランクはあげておいたほうがいいんだな。
冒険者の説明を聞き終わり、私たちはとりあえず一つ依頼を受けてみることにした。私たちは最底辺のFランクからのスタートだ。
私たちが受けれるのはリマジハの町付近での魔物の討伐や薬草摘み、キノコ狩りなどなど。
ここら辺の依頼を選ぶのはサンに任せることにした。
「じゃ、ここは異世界ファンタジーの定石に則って薬草摘みです!」
「わかった」
薬草摘みクエストをまずやることにしたようだ。