ビッグベアー討伐
ゲームにログインして、私はサンと合流した。
今日はダイチもいないので、二人でとりあえずゲームをすることにした。ダイチは仕事があるというらしい。
こういうこともあるから私を雇ったんだろうなと思いながら、サンが行きたい場所を聞く。サンは武器が欲しいと言っていた。
武器か……。こういうのは生産職のプレイヤーにランクの高いものを作ってもらうのがいいが、まだ序盤だからそういうのはいいだろう。
私はサンを連れて武器屋に向かう。
私もめぼしい武器があったら買うつもりだ。私の戦い方は素手喧嘩だが、威力が増強できるならそれに越したことはない。
武器屋には剣や杖、グローブなども売っていた。
メリケンサックというグローブもある。そりゃ武器だがよ……。だが、メリケンサックが一番火力が高い武器だ。
私はメリケンサックを、サンは銅の剣を購入していた。さっそく装備し、私たちはとりあえず次の町に向かうための道を歩く。
「出やがったな」
私が昨日敗れたクマがそこに鎮座していた。
どうやらこの熊が次の町へ行くためのボスのようだ。私は肩を回し、戦いの準備に入る。一度負けた相手には負けねえぞ。
私は素早く懐にもぐりこんで、そのまま顔を思い切りぶん殴った。
弱点ではなく、肉質も相当硬いのかあまりダメージを与えた様子はない。顔を狙っちゃダメか?
「グルァァアアアア!」
「サン、連携で仕留めるぞ!」
「はい!」
サンは剣を振るう。
私は腹部にもぐりこみ、思い切りこぶしを突き上げた。急所だったのか、熊の体が上空に思い切り浮かび上がったのだった。
熊はそのまま、重力に従い落下してくる。だが、体勢を立て直し、攻撃に移ろうとしている熊。私は思い切り力を込めて、渾身の右ストレートを熊めがけて放つ。
熊の手に私の手が当たる。力比べだ。
全力の力で、私は思い切り熊を殴る。熊の手が変な方向にひしゃげ、私はそのまま首元に拳をめり込ませたのだった。
サンは、その隙に剣で切り裂く。熊はそのまま体力を削られ、バタンと倒れて消えていったのだった。
「っし! やったな!」
「はい! さすがです、ルナさん!」
「それほどでもねえよ。さ、ドロップ品を拾って次の町へさっそく行こうぜ」
熊が落としたドロップ品はビッグベアーの毛皮とビッグベアーの爪だった。どちらもノーマルアイテムで、レア度はそこまで高くないようだ。
そして、今のビッグベアーとの戦闘で経験値を得てまたレベルが上がった。
「さて、さっそく次の町へ行こうぜ。ダイチが置いてけぼりだが……」
「……まぁ、なんとかしますようちの姉ちゃんなら!」
「お前って姉にすげえ厳しいよな……」
「愛の鞭です」
「それは姉のほうが普通やんだよ」
サンは意気揚々と先へ先へと進んでいく。
私はサンの後をついていくように歩いていったのだった。
ビッグベアーを倒したやつは数人すでにいるらしく、もうすでに隣町に来ているプレイヤーもちらほら見かけている。
私たちが最初じゃなかったか畜生……。まぁ、でも構わん。最初であるかどうかは本来はどうでもいい。
私たちはとりあえず、隣町の探検をすることにした。