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暴言厨

 サンと私はウキウキで冒険者ギルドに戻っていく。

 ツクモたちは再びログインしていたようだ。待ってたよと告げられ、また再び依頼をやらないかということを言われる。


「早いところ行きましょう」

「妙に急かすじゃん」

「ちょっと気に食わないことがあったので」


 と、ダイチがちょっとご立腹だった。

 訳を聞いてみる。


「あなたたちが帰ってくるまで少し時間があったので私ひとりで即席パーティを組んで依頼に行ってたんです」

「おー、ツクモにはまずできない発想」

「うるせえ」


 ダイチは一人で即席パーティを申し込んで依頼に行ったようだ。

 そこでなにかあったんだろうか。


「私はヒーラーが主なんですって告げたにもかかわらず、戦えだとか……。戦わないなら死ねよとか萎えたって言って一人が途中で帰っていったんです」

「あー、そういうやつオンラインゲームになるといるよな」


 暴言厨、途中抜け。指示厨エトセトラ。

 マナーがなってねえやつがいるよな。ダイチはそいつに運悪く遭遇してしまったらしい。ほかの組んでいたメンバーもなんだこいつと思いながら何も言わなかったようだが、依頼が終わった後その人の愚痴めちゃくちゃ言ってたとか。


「あまり暴言を吐かれるのは気分がいいものじゃありませんね」

「そうか? 冒険の応酬も案外楽しいぜ?」

「それはあなただけでしょう。思い出しただけでムカついてるんですから。早く行きましょう」

「私たちも聞いてるだけでちょっとムカつくねー」

「まぁ……」


 スタァたちはすでに聞かされていたようだった。

 ちょっとイライラしてるご様子のダイチに急かされ、私たちは依頼に向かうことになった。冒険者ギルドを出ようとすると男の人に声を掛けられる。


「すんません、パーティとか募集してないっすか」

「あん?」

「あなたルナさんっすよね? パーティとか……」

「してねえけど」


 私はそう返す。

 背後からくいっと引っ張ってくるダイチ。私はダイチに耳を貸すと、こいつがさっきの暴言厨だって言ってた。なんで声かけて来るんだ。ダイチが見えてねえのか。

 なるほど。たしかに……。そういうことを言いそうなくらいの偉そうな言動だよな。割と上から目線で言われてるからちょっとムカついてたのか私は。


「俺とパーティ組んでくれないっすか? 周りの奴らめっちゃ弱くて」

「断る。やってて楽しくねえ奴と誰が組むかよ」

「えっ?」

「周りを見下すような奴と組んで誰が楽しいと思えるかよ。プライド高いのが見え見えだぞ。私と組みたいなら私を見下すのやめろやボケが」


 私はそう言って依頼に向かっていく。

 あれはたしかにムカつくわ。でもああいうやついるよな。クビになったとはいえうちの工場にもいたしな。俺はお前らとは違うんだって醸し出してるやつ。結局、工場職員の金盗んで解雇になったけど。


「ああいうのうちの会社にもいるよねぇ」

「無駄にプライド高い奴いたな」

「……誰ですか?」

「やべ、ここに社長の娘がいるの忘れてた」

「……私のことですか?」

「違うよ!? 高場って部長!」

「あれは厄介だった。あれのせいでまじできつかった」

「へぇ……。お父様に相談してみますね」


 今私は一人の人間が窮地に立たされる瞬間を見た気がする。









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