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初めての死

 サンのゲームの腕前は結構ある。

 私自身、喧嘩とか明け暮れてた時期があり、殴り合いなら自信あったが……。サンの動きは全然違う。

 病気がなかったらきっと世界で活躍する何らかのスポーツ選手にはなれてたんじゃないだろうか。


「サン、お前結構動けるな」

「えへへ。いつもベッドの上で空想してましたから。こういう動きが出来たらいいなーとか。勇者はこういう戦い方するんだろうなーとか」

「勇者ねぇ……」

「でもルナさんもすごいです! ルナさん、とてもかっこよくて……」

「ありがとさん」


 私はサンの頭に軽く手を置いた。


「それでよ、ダイチさん。あまりこういうこと言いたくねえけど……。結構下手だな」

「二人がおかしいんです! 一般人は私みたくダメージを負うんです!」


 ダイチさんは膝に手を当てて息を切らしていた。

 私たちのレベルも結構上がり、私は6レベルまで上げることができた。

 夕方を迎え、サンはログアウトしなくちゃということなのでログアウトしていく。


 私はダイチさんを少し引き留めた。


「なんですか?」

「その、あれだ。今度お見舞い行かせてくれ」

「妹のですか?」

「あぁ」

「わかりました。いつがいいでしょう?」

「明日……いけるか?」

「わかりました。サンに伝えておきますね」

「頼むな」


 私はダイチさんに頭を下げた。


「ふふ。そんな畏まらないでもいいですよ。同年代なんですし、仲良くしましょうよ」

「そっか?」

「下手な敬語とかはいらないんで」

「あんたも敬語だろ」

「私は誰に対してもこうです。私も遠慮なく行かせてもらうので、ルナさん……月見さんも遠慮なくどうぞ」


 そう言ってダイチはログアウトしていった。

 私は少しレベリングしてからログアウトしようかな。二人を見送り、また再び平原に向けて歩き出す。

 魔物を殴り、蹴り飛ばし、レベル上げをしていると私に何か流れ弾のような魔法が飛んできた。


「チッ……誰だよゴラァ!」

「ひっ……すいませんすいません!」

「あ? わざとじゃねえの?」

「わざとじゃないです魔物を狙っただけなんですごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜!」


 杖を構えていた女の子が何回も頭を下げてくる。

 

「わざとじゃねえならいいよ。気をつけてな」

「ゆ、許してくれるんですか……?」

「いいよ。近くにいた私も悪ぃし。んで、魔法使いかあんた」

「はいぃ……。魔法使いたかったので……」

「ふーん……。で、狙いを定めてだけど外したのか」

「すいませんすいません!」

「いやいいって……。力入れないで狙ってみろ。落ち着いて狙え」

「えと……こう……」


 女の子は魔法を放つ。

 火の玉がウサギに直撃した。


「当たりましたっ!」

「力んでたら外すぜ。落ち着けよ」

「はい!」

「で、あんた名前は?」

「ひっ……名前を押さえて復讐するつもりですかぁ!?」

「違えよ! 被害妄想逞しいなこいつ……。私も始めたばかりだからよ、とりあえず何人かと親しくなっておくのも悪くねえと思ったんだよ」

「そ、そうなんですね。私はサトーっていいます」

「よろしくな」


 私はサトーにフレンド申請を飛ばした。

 受けてもらえたようだ。私はサトーを誘い、レベル上げを一緒にしないか聞いてみた。


「いいのですかぁ……?」

「おう。ここよりもうちょい強いとこ行ってみようぜ」

「はいぃ。よろしくお願いしますね」


 旅は道連れ世は情け。

 私はサトーを連れてもう少しレベルが高い場所にやってきたのだった。

 リマジハの森。

 リマジハの街の近くにある森で隣町へ通じる通路でもある。


 ここでは平原よりレベルが高い魔物が出るらしい。


 私たちは早速蛇の魔物に出くわした。


「オラァ!」

「ふぁ、ファイアーボール!


 サトーの魔法の精度も上がってきており、だんだん当たるようになってきていた。

 森の中で魔物と出会い、倒していく。

 だがしかし、それは突然現れた。


 私たちの目の前には巨大な熊が立っていた。

 口元から涎を垂らし、豪腕を構えている。調べてみるとレベルは18。私たちより倍近くあった。


「ガルァ!」


 熊はその馬鹿でかい腕を叩きつけてきた。

 私は防御し受け止めたが、3分の1くらいダメージを受ける。

 ガードしてこれかよ!


「えい!」

「ガル!」


 魔法を放ったサトーに視線を向ける熊。

 一気に距離を詰め、その丸太のような腕を振るいサトーを突き飛ばした。

 サトーは一撃で倒れ消えていく。


 私はサトーに構っていた隙に試しに一撃入れてみるが。


「うわ、かってぇ」


 こりゃ無理だ。

 私は熊に掴まれてそのままぶん投げられたのだった。木に激突し、私はそのままログアウトさせられたのだった。


「クソ!」


 ヘッドギアを外し、私は立ち上がる。

 初めて死んだ。デスペナルティとしてログイン制限がかけられている。

 仕方ないので私は部屋を出て夕食を買いに向かうことにした。寮生活といえど自分の食事は自分で用意する。


「だる……」


 私はバイクに跨り少し遠くのスーパーに足を運んだ。












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