その道は阿修羅なり ①
昨日はさんざんヒートアップしたところでお預けをくらってしまった。
それから今日はやめということになる。時刻はその時点で夜の6時を迎えていたらしい。あそこじゃ夜になったかどうかもわからんて。
夜になって、私は一人でまたログインしてあの墓場にいっていた。そこの安全地帯でログアウトして今日はそこから始まることになるのだが……。
私はいざログインしようとすると、スマホに電話がかかってくる。
大地からだった。私は電話に出る。
『申し訳ありません。今日はゲームの業務はなしで」
「なんで?」
『太陽が熱を出してしまいまして』
「熱!? 大丈夫か? お見舞い行こうか?」
『いえ、そこまでのことじゃないです。医者曰く、ただの風邪のようですので……。熱が下がるまで業務はなしにします。申し訳ありません』
「うっす……。九十九たちには私から言っておくか?」
『相模さんは今日どちらにせよ引継ぎでできないらしいので、あと九十九さんだけな……あ、いや、お願いしてもいいですか?』
「任せろ」
私は電話を切り九十九に電話をかけた。
「おい、今日は仕事なしだとよ」
『なんでだよ』
「サンが風邪ひいて熱出したんだってよ」
『大丈夫なのか?』
「ただの風邪だって言ってる」
『ならいいけどよ。ま、わかった。今日は自由にしていいんだな』
そういって、電話が切られた。
私も自由にしたい……。ツーリングでも……とは思ったが、さすがに今日は遠慮しておくか。ゲームで金策とかいろいろしておこう。あと冒険者のランクを上げたりとか。
いろいろやることはあるな。私はまずログインしたのだった。
目を覚ましたのは墓地の近くにある安全地帯の木の下。
昨日やっていたことを思い出し、私はまた再び戦いに身をゆだねようとしていたときだった。墓地に近づくと、突然それは聞こえる。
《緊急警報、緊急警報! 修羅龍”阿修羅”襲撃! 繰り返します…》
という警報とともに、私の目の前に現れたのは首が三つあるめっちゃ強そうなドラゴンでした。
「おい、まだぺーぺーの私にこんなのに勝てってのかよ!?」
阿修羅は私のほうをじっと見ていた。
警報が鳴るってことはものすごく強い……。というか、こいつって噂のユニークモンスターという奴ではないだろうか。
そういう噂があった。ユニークモンスターはとても強くて敵わないと。出現する際には狙われた人にアナウンスが流れると。
もしかしてこれがそうなんじゃね……?
「私が狙われちゃったってことですかい!」
阿修羅は三つの首から炎を吐き出してくる。
私は紫電武装を使い、思い切りジャンプして一つの頭に飛び乗った。私はそのまま頭をぶん殴ろうとすると、その瞬間振り落とされる。
落下している瞬間、私の目の前には爪が現れた。爪が思い切り私を切り裂こうとしてくる。私は爪を受け止め、力を込めて私の体を動かしずらす。
私をあわよくば踏みつぶそうとしていた足は地面に落ちた。
私も着地し、少し考える。どうやって戦おうか、どうやってこの場をいなそうかと。
私は断言できる、こいつにはまず勝てねえ。
でも、死にたくもねえ。生き延びたい。ただそれだけで粘ってる。
ただ、あえて弱音を吐くならば。
「きっっっっつ!!!」




