墓荒らししようぜ!
朽ち果てた墓地はその名の通り墓地。
手入れすらされてないのか苔むしていたり、ところどころ砕けていたりもしている。
そして、何より不気味なのが人魂が浮かんでいることだった。
「ここまで入り組んでると素早く動きにくいな」
「ですね。すぐにぶつかっちゃいます!」
「……ダイチちゃーん、そんなおっかなびっくりだとペース遅くなっちゃうよ?」
「わ、わわ、私のことは気にせず……」
「そうは言ってもな」
みんなで行動してるわけだしここに置いてくのも出来ねえだろ。
本当にホラーダメなんだな。私はダイチに駆け寄り、背中を貸してあげた。
「あ、ありがとうございます……。優しいんですね」
「あん? まぁな」
ダイチはおっかなびっくり進んでいく。
すると、サンが私の後ろに立ってもう片方の腕を掴んだ。
「どした?」
「私も怖いです」
「さっきまでぐいぐい進んでたよね?」
「突然怖くなったんです」
なんじゃそりゃという顔を浮かべるスタァ。
「っと、敵だ」
「ツクモくん、ルナちゃんは戦闘不能だから私たちでやろうか!」
「う、うす……」
覇気見せろよツクモ。
私たちの前に現れたのは身体がドロドロに溶けた死体。いわゆるゾンビというやつだった。
目玉が飛び出して脳みそが露わになっている。ちょっとグロい。
「と、スタァは斧なんだな、意外」
「可愛い女の子がデカい得物を振り回してる姿カッコいいので!」
スタァは斧を振り下ろす。
ゾンビが一刀両断されたのだった。スタァは斧を再び振り上げる。だがゾンビがその隙を見計らったのか飛びかかる。
そこをツクモが槍で突き飛ばす。
「ナイス! ツクモくん!」
「お、おう……」
「この調子でぶっ倒していくよ〜!」
意気揚々と戦闘していた。
私はちょっとウズウズしている。参加したくて。私の中の闘争意欲を刺激してくれやがってこの野郎が……。
「私も参加……」
「ダメです!」
「さいですか……」
ツクモたちはゾンビを蹴散らしていく。
被弾もしていた。おい、今のは躱せただろとか思ってしまう。まだ戦闘に粗がありすぎる。
が、無事ゾンビどもを掃討出来たようだった
「どーよ、ルナちゃん!」
「動きに粗がありすぎだ」
「厳しい〜!」
「先へ進もうぜ」
「だね〜。私の勘だけどここには何かある気がする。私の勘は当たるんだ」
「……ギブしていいですか?」
「しゃあねえなあ。誰か街まで着いて……私の方がいいか」
「え……」
「なんだ、サンは嫌か?」
「えと……………」
サンは私の手をぎゅっと握りしめる。
少しの沈黙の後、口を開く。
「私はルナさんと一緒がいい……」
「そうか? なら……スタァ、ダイチの護送頼める?」
「任せて! ダイチちゃん、いこ!」
スタァはダイチと一緒に来た道を戻っていった。
それにしても私と一緒がいいと我儘を言うとは。そういうのは気遣って言わないと思ってたけどそういうことを言ってくれるとは私のことをだいぶ好いてくれてるようだ。
お姉ちゃん嬉しいよ。
「さてツクモ。私もここになんかあると踏んでる。墓荒らししようぜ」
「人聞きの悪い……。まぁやってることは墓荒らしなんだけどよ」
「何かヒントのようなものはないでしょうか……」
「あるとしたら人魂だろうな。人魂の配置に法則性がない。人魂が浮かんでる墓石を調べたらいいんじゃねえかな」
「おー、それっぽい。ツクモ案外考察向いてんのか?」
「まぁ、頭使う方が俺は得意だ」
私たちはツクモの言う通りに、人魂が浮かんでる墓石を調べることにした。




