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善人悪人

 榊 太陽と書かれた表札の部屋に入る。

 太陽は病院服を着て点滴を受けていた。


「太陽、新しく一緒にゲームしてくれる人ですよ」

「初めまして。私は榊 太陽っていいます。私のわがままにつき合わせちゃってごめんなさい。一緒に楽しくやりたいです」

「初めまして! 私は相模 星来せいらっていいます。太陽ちゃん、これからよろしくね!」

「はい、よろしくお願いします!」


 相模は太陽の手を握りしめる。


「で、こっちが九十九。おとといのイケメンだ」

「ツクモさん、よろしくお願いします」

「お、おう……」


 私は椅子に座り、持ってきたリンゴを剥く。

 しゅるしゅるーと皮をむき、四つに割って種を取る。


「ほらよ」

「ありがとうございます! ルナさんって手先結構器用ですよね?」

「ま、小さいころから工作とかは好きだったからな」

「工作かぁ。夏休みの工作とかやったことないですね」

「ちゃんとやらねえとだめだぞ」

「いえ、やりたかったんですけど、病弱な私を見かねて先生が無理しないでいいって。私も夏休みとか発作がひどくてやれなかったんです」

「いい先生だな。ちゃんとやらなくていいとか言ってくれんだ」

「ルナさんは違ったんですか?」

「うちの先生は根性論でさぁ、熱出しても帰してもらえなかったぜ」


 まぁ、高校自体割と荒れてる高校だから仕方ないが。


「中高と、私の学校めっちゃ治安悪かったからそういう先生も来るんだよ。いい先生だったんだな」


 思い出すのは割れた窓ガラスに壊されている自販機。授業なんてあってないようなもんだったな……。今になって思うとすげー馬鹿なことだと思う。


「……そこまで言うほど治安悪いんですか?」

「そりゃ授業は基本騒いでるし、窓ガラスなんて基本われてるだろ? 自販機も壊れて、ドアは基本みんななぎ倒して……。トイレには血の跡もあったな」

「うわぁ……」

「世紀末ですね」

「言い得て妙」


 もう世紀末だった。


「私のところは普通でよかったなぁ」

「俺は男子校だったしそういうこともなかったな……」

「私のところの先生は体育の先生以外はまともだったかな」

「……むしろ体育の先生はなぜまともじゃないんです?」

「生徒の裸を盗撮して捕まったんだ」

「それさらっと言っていい内容じゃないですよね?」


 相模お前そんな奴の高校にいたの?


「盗撮映像を売りさばいたりしてましたね。私も裸撮られました」

「お前それさらっと言うなよ」

「映像だし、空手習ってたからもし変な奴がその動画見てやってきても返り討ちできるかなって……」

「それ買ってたな……俺の友達……」

「えっ!?」

「俺の友達が……ネットでエロい動画買ったって言ってて……。顔がたしかに相模さんそっくりだったかも」

「えぇ……」


 世界は狭いなオイ。

 その話に、ダイチもサンもちょっとドン引きしていた。


「いろんな人がいるんですね……。善人ばかりじゃないんですね……」

「そういうことだ。お前はいい先生に巡り合えてよかったな」

「はい……。あ、あの、それより早くゲームがしたいんですが!」

「お、やるか。じゃ、さっそく帰ってやろうぜ。相模は機材あるか?」

「一応やってるからある! ギノツ町にいるからすぐ合流できます」

「おし、じゃ、ギノツ町の冒険者ギルドで合流。さっさと帰るぜお前たち!」


 私は病室を飛び出して会社に一度戻ることになった。









 

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