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相模の人間性

 ツクモは相模という女性社員のことを説明し始めた。


「彼女は……その、こんな俺にも話しかけてくれる優しい子、で」

「そりゃお前顔がいいから話しかけられんだろ」

「ですね。顔がいいと女性は話しかけたくなります。イケメンとかお近づきになりたいですし」


 こいつ根があれだから勘違いしやすいんだろ。

 話しかけてくれるから優しいじゃねえの。顔がいいからその顔の遺伝子だけ欲しい女に決まってんだろいい加減にしろ。

 私が普通の女の子なら打算でしか近づかねえよこんな陰キャみたいなイケメン。

 ちょっと言い過ぎた。


「え、ええ?」

「お前私で感覚麻痺してねえか?」

「……それはあるかも」

「ま、とりあえず人となりの調査だろ。正直、裏表が激しかったら私は断固拒否だ」

「ですね。明日私が……といいたいんですが、明日は私は忙しいので……。ツクモさん……はダメですね。偏見がありそうですから。ルナさん、お願いできませんか?」

「いいけどどうやって私が本社で調査すんだ。私は工場のほうの人間だぞ」

「それは大丈夫です、何とか致します」


 そういって、ダイチは少し笑っていた。

 翌日、私は慣れない女性用のスーツを着て、本社のほうにやってきていた。工場の現場の声を聴くということで、総務課などなどにお邪魔していた。

 今日一日はここで打ち合わせを偽って例の相模という女性社員の調査。


 私は回転いすにもたれかかり、九十九と談笑していた。


「九十九さん、私以外と話せるようになったんですか?」

「あ、おう……。いや、こいつはなんつーか腐れ縁っていうか……」

「同期。工場勤務の久我って言います。よろしく」

「はい、よろしくお願いします」


 何だこの女。

 見た目はすげえいい。こいつと確かに釣り合うぐらいの美人。女優業やってるって言われたら信じるぐらいには美人。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はユリの花という言葉の体現者。


「私は相模って言います。よろしくお願いします」


 相模はお盆を握りしめ微笑みかけてきた。


「んで、相模。ちょっといい?」

「はい?」


 私は給湯室に相模を呼び出した。


「相模……あいつのこと好きなの?」

「えっ!?」


 私はちょっと聞いてみることにした。

 私も個人的に興味がある。なんであの男に話しかけるのか。私じゃ絶対最初に話しかけてドモられたらそれ以降ぜったい話しかけないような人間だ。


「す、好きっていうか……。その……」

「ばらさねえから。好きなんだったら協力してやるぜ?」

「と、とある方の話が聞きたくて」

「とある方?」

「はい……。彼の同期で……」

「ふんふん」

「とてもかっこいい女性の方……」

「へぇ。まだいたのか、あいつ私以外の知り合い」

「あなたです!」


 と、顔を赤らめて、告白してきた。


「わ、私……その、あなたのことが一目見た時から……好きになっちゃって……。九十九さんと仲良くしてるのを見たから聞いてみたんです。付き合ってるのかとか……。ただの友達ってことを聞いて、なら久我さんのことを教えてほしいと言って毎日……聞いて、るん、です……」

「……ちょっとタンマ」


 私は九十九のところに向かって胸ぐらをつかんだ。


「お前なんであいつが私のこと好きなこと言わねえの?」

「いや、お前が言う前に自己解決したからだろ! 話そうとしたよ!」

「あ、そう……。ちょっと待ってくれ」


 まだ頭が混乱している。

 好きだって言われたこともねえし、その相手がまさかの女性ってことも体験したことねえし。マジで?


「あ、あの……本当にすいませんでした……」

「いやいやいいのよ! どんどんこいつに聞いちゃって!」

「いいんですか!?」

「おう! っていうか、友達ならなってやるから……」

「え、いいんですか!?」

「お、おう……」

「やったぁあああああ!」


 私は連絡先を渡すと、飛び跳ねて狂喜乱舞していた。

 うーむ。問題はないが、問題はないが……。










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