ゲーム開始
リジェクトギャラクシー。今話題のVRMMO作品だ。
今日発売らしく、発売日の今日、社長がゲームを3つ仕入れ、一つをヘッドギアと共に私の寮に持ってきた。
私は持ってきた手前やらないわけにも行かず、ヘッドギアを被りゲームの世界にログインしてみる。
私はまず知らない空間にいた。
アバターの設定をするらしい。アバター設定でまず自分のゲーム世界でのアバターを作成するのだとか。
私はリアルモジュールで、髪色を水色にだけしておいた。
そして次に、ゲーム世界での名前。
私は普段ゲームで使用しているルナという名前を打ち込んでみる。発売したばかりでまだやってる人も少ないのか名前が通った。
このゲームは存在している他プレイヤーの名前は使えないみたい。カタカナのルナは私が使ったというわけだ。
ルナという名前が決まり、最後に種族を決めることになった。
私は人間を選択する。エルフとかはガラじゃねえ。
そして、すべて決め終わり、最終確認が飛ぶ。私はオッケーと言うと目の前の光景が一気に切り替わった。
目の前に広がるのは大きな平原。爽やかな風が吹きつけ、いい天気だ。
私は服装も変わっており、最初の服と最初のズボン、兵士の剣を初期装備として持っているようだ。
ここから私のゲーム生活が始まる。
たしかスポーン地点に一番近い街で待ち合わせとか言っていたな。大地さんもいるらしいし顔見ればわかんだろ。
私はマップを開き一番近い街を探す。
ここから近いのはリマジハの街という場所だ。現在地とそこまで離れていない距離。
私はリマジハの街目掛けて歩き出す。
リマジハの街につき、広間の方に向かうと大地さんが立っていた。
「待ったっすか?」
「あ、久我さんですね?」
「おう。ここではルナだからな。で、そっちの子が例の……」
「はい。ほら、挨拶」
中学生くらいの背丈の子が私の前に立つ。
「初めまして! サンです! 私のわがままに付き合ってもらってごめんなさい!」
「ん、気にすんな。ゲームして金もらえるのはラッキーだからよ。金貰う以上、私は全力で楽しむぜ? 着いて来れるよな?」
「は、はい! ついていきます!」
「そうかそうか。じゃ、早速行くか?」
「行くってどこに?」
「決まってんだろ。バトルだよ」
そう言うと大地さんが心配そうな声を出す。
「た、戦わせるんですか!?」
「ったりめえだろ? MMOでバトルもんだろこのゲーム。戦ってレベル上げなきゃ話にならねーぞ?」
「え、ええ!?」
「おいおい……。バトルもんでバトルしねえと思ってたのか……? 大地さんよぉ……」
「下調べ不足でした……。戦いは刺激が強いのでは……」
「その刺激がいいんだろ。戦いたいよな、サン」
「はい! ドラゴンを倒すのが夢です!」
「やる気満々だぞサンは」
サンはやる気満々ですでに剣を手にしていた。
ダイチさんも覚悟を決めたのか、私も行きますということ。
魔物が出るさっきの平原で適当に魔物を探していた。すると、犬が走ってくる。
魔犬という魔物らしい。
「あれを倒すんですね!」
「ただの犬じゃないの!?」
「あれ魔物だよ。結構数いるな。サン、できるか?」
「はい!」
私は拳を構える。
剣は私の性に合わない。女なら黙って拳一択だ。
私は犬を思い切りぶん殴る。
レベルが1ということもあり、ワンパンとは行かないようだった。
魔犬を倒すのに3発ぶん殴る必要があった。私はしこたま犬をぶん殴る。
「えいやっ! はっ!」
「筋がいいじゃねえかサン」
「毎日イメトレしてました! 暇なので!」
「イメトレは大事だな!」
「え、えいやーーー!」
「……お姉ちゃん、攻撃当たってないよ」
「なんつーか、あの社長の娘なのに案外ポンコツなのなお前」
「わ、私はこういう戦う系が苦手なだけです!」
「なるほどな……。だから私に頼んできたわけか……」
戦うの苦手なのはいい。
遊べるのは戦いだけじゃないしな。バフとかそういうのもあるし、生産職という手もある。
社長は自分の娘がこういうの苦手だとわかって私を雇ったのか……。
「仕方ないなぁ。ポンコツお姉ちゃんの分も頑張ろ!」
「そうだな、ポンコツお姉ちゃんの分も頑張ろうな」
「ポンコツポンコツ言わないでくださいよぉ!」