チーム作ってみようか?
サンが翌日ログインしてきて、ツクモとダイチも合流したのだった。
今日は月曜なのに昼間からゲームできるのかと聞いたら、休みだと言っていた。
「……チーム?」
「ああ。昨日勧誘されて蹴ったけどよ、そういうのあったら作りたいか?」
「そうですねぇ。私はどちらでも構いませんが……」
「……俺もどっちでも」
とツクモとダイチは賛成もしないし反対もしなかった。
ツクモは人見知りを発動しているからだろうが、ダイチはきっと別の理由だろう。私はサンのほうを見る。
「サン、お前はどうしたい」
「私ですか……? えっと、いいんですか? 私が決めても……」
「おう。お前が決めていいぞ」
「サン、私はあなたに従います。いろいろと必要なものがあれば私たちが用意しますので」
「そ、そっかぁ。じゃ、じゃあ、作ってみたい、かな? チームランキングっていうのもちょっと面白そうだし……」
ということだった。
「ツクモ、お前は強制的にメンバーな」
「わかってる。サンちゃん、よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
「……お前、中学生相手には普通にしゃべれるのな」
「子供は純粋でかわいいから……」
「お前それ他所で言うなよ。顔がいいから許されてるだけで割とグレーゾーンの発言だからな」
「うっ……」
こいつ割ととんでもねえ発言するな。
「では作る方針で行きましょう。ただ、人数が足りませんね……。誰かを呼び込みますか?」
「いや……こっちの事情を知ってるやつのほうがいいだろ。下手に知らねえ奴入れて混乱を招くのは嫌だぜ」
「お、俺もそうだと思います……。ほかに信頼できる人間を……探したほうが、いい、かも?」
「そうですか……。うちの会社にほかに条件に合う方いましたかね……」
「条件?」
「あ、説明してませんでしたね。サンと遊ぶにあたり、条件を決めて人を選んでいたんです。それなりの実力があって、面倒見がいいこと、思いやることができること。それをすべて満たしていたのが……」
「私ってことか?」
「はい。工場長からもあなたはとても面倒見がいいと太鼓判を押されましたから」
なるほど。そういう条件で吟味していたのか。
「工場つってもまだ北海道とか九州とかに製造工場あるし、そっから取るってのもダメなのか?」
「わざわざゲームをさせるためだけに呼び寄せるのも……ということなんです。契機が終わった後、北海道戻ってね、九州戻ってねっていうのも失礼でしょうし、異動が比較的楽な関東工場から選んだんです」
「なるほど。たしかにそうだ」
私たちが会議をしていると、サンが割り込んできた。
「む、無理そうならいいよ? 私のわがままだし……」
「いえ。サンのわがままは全部叶えてあげたいという私のわがままです。サン、私のわがままを聞いてください」
「でも……」
「大丈夫です。お姉ちゃんが何とかします。サンが不安に思うことも、なにもさせません。サンが楽しければいいんです」
「サン、こういうのは素直に受け取っておけ。お前が楽しむことが恩返しなんだからよ」
「恩返し……」
サンはわがままで悩ませるのが嫌なんだろうな。いい子だ。
信頼ができる人か。うちの会社で信頼がおける奴……。ツクモは加入決定だし、あと他にいたかな。工場の奴らはあれはダメ。悪乗りしすぎる節があるからな……。それと元ヤンばっかだから血の気が多い奴も多い。前回の暴力騒動然り。
本社に知り合いはツクモぐらいしかいねえしな……。ツクモはツクモでコミュ障だから期待できねえし……。
「名前の数合わせだけで父さんも……。いや、父さんはこの手のものに疎いから……」
「あー、あの、俺一人心当たりがあります……」
「心当たり?」
「相模という女性社員なんですけど……」
……誰だよそいつ。




