表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/41

猪突猛進 ②

 巨大内のイノシシはわき目も振らず突進を繰り返していた。

 私は躱しながら攻撃に転ずる。思い切り顔面に蹴りをかましてみると、ちょっと効いていたようでイノシシがくらっと立ち眩みする。

 顔面か? いや、脳震盪みたいなものかもしれない。どちらにせよ、集中攻撃のチャンスだ。


「もう一発……」


 私は攻撃をぶち込もうとした時だった。

 イノシシはノーモーションで突撃してくる。あまりにも唐突な突進で、私は躱すことができなくモロに食らってしまった。

 イノシシは私を巻き込み、ものすごい勢いでどこかに走っていく。木々をなぎ倒しながら、そのまま崖のほうに走っていった。


 そして、私は崖とイノシシに挟まれてしまう。


「……やべぇ」


 油断。

 即死はしなかったが、瀕死には違いない。体力がもうミリだ。風前の灯火。追いかけて来るサンとダイチ。

 私はゆっくりと立ち上がる。これ以上の被弾は許されない。


「お姉ちゃん、回復魔法!」

「MPがもうないんです……」

「えぇ!?」

「大丈夫だサン」


 私は拳を構える。


「逆境こそ喧嘩の真髄よ」


 私はイノシシの懐にもぐりこみ、足払いで思い切り転ばせる。そして、その隙に大きな牙めがけてフルパワーでぶん殴った。

 すると、イノシシの牙が砕け散る。イノシシはそれを見て少し危機感が出てきたのか、おびえ始めて逃げようとしていた。


「やっぱ牙をぶっ壊すと逃げるようになるか」


 牙によほどの自信があったんだな。

 サンは剣を構えて背を向けるイノシシに剣を突き刺した。イノシシは痛そうに叫び、地面に倒れる。だが消えない。

 となるとまだ死んでない。

 私は横になったイノシシの目ン玉めがけて思い切りパンチを放った。鋭く、重いパンチ。イノシシは悶え、そして動かなくなる。


 イノシシが消えていった。


「っし! 討伐完了!」

「やりましたね!」

「一時はどうなるかと思いました……。大丈夫ですか?」

「おう。あれは私の油断だから気にすんなよ。それよりもう夕方だろ? これで終わりだな」

「ですね。サン、明日はちょっと用事があるのでログインはしないでおいてくださいね」

「え、はーい……」

「ルナさんも明日は一日オフで大丈夫です」

「わかった」


 サンは用事か。

 いろいろ家のこととかあるんだろうなー。と思いながら、冒険者ギルドに向かって報告して、今日は別れたのだった。

 私はログアウトしてヘッドギアを外す。明日一日オフならちょっとやりたいこともあるしちょうどよかったか。


 ログアウトして、少しした時だった。

 私のスマホに誰かから着信が鳴り響く。山田という文字が浮かんでいた。工場で働いている山田だ。私は電話に出ると、少し焦ったような声で助けを求めてきたのだった。


『久我! 若い奴らが工場内で殴り合いの喧嘩してんだ! 止めに来てくれ!』

「えぇ? わかりやしたよ……」


 どうやら若い衆の喧嘩らしい。

 私はバイクにまたがって現場に向かうのだった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ