猪突猛進 ①
変な奴に絡まれて、冒険者ギルドについた。
どうやら私は一番最後のようで、サンはともかくダイチに後れを取るのはちょっと悔しい。私は少し気に食わない顔しながら席に座る。
「私のほうが早くて悔しいんですか?」
「べっつに……」
「ふふ。私のところは簡単でしたので。ですが……なぜ遅れたのですか?」
「不良かぶれの中坊に襲われただけだよ」
私がそういうと、大変でしたねと慰めてくれたのだった。
「さて、みなさんEに無事昇格できたのですし、さっそく依頼を受けませんか?」
「そうだな……」
「そういうと思ってさっそく受けておいたよ。これ」
そういって出してきたのはリマジハの森の中に生息する巨大な猪の討伐。Eランクも採取系が多いが、これは数少ない討伐系のクエスト。
サンが受けたということもあり、ダイチはちょっとだけ不安な顔しながらも笑顔でやろうと言い出したのだった。
そして、リマジハの森に入っていく。
ギノツ町につながる道を少しそれた道に整備されていないけもの道のような場所があり、そこに巨大な猪が出現するらしい。
ちゃんとした道に出るのは森を追い出されるような弱い魔物だが、森の奥に行くにつれて強い魔物が跋扈しているのだとか。
けもの道を歩いていると、それは突然現れた。
立派な牙を携えたイノシシがしょっぱなから突撃してきた。私とサンは躱したが、ダイチが出遅れてイノシシの突進を受ける。
「大丈夫かよ!?」
「ダメージは受けましたがなんとか……」
「少しは躱す努力をしろよ……」
「申し訳ありません……」
イノシシは鼻息を荒く吹き付ける。
私はメリケンサックを装備し、臨戦態勢を整えた。私はさっそく攻撃を仕掛ける。あのクマと同じなら、真正面から叩くのは得策じゃねえ。
叩くなら柔らけぇ腹部。これ一択だぜ!
私は思い切り腹部を叩いた。が。
「なんつー脂肪……。効いてねえぞ」
おなかの脂肪が分厚く、ダメージが響いてる様子はない。
おなかは弱点じゃねえ。となると、背中か……やっぱ顔か?
「お腹のほうは弱点じゃありませんね! あまり効いてないっ!」
「顔か?」
「かもです!」
イノシシは巨大な牙で私たちを薙ぎ払う。ガードの体勢を取ったが、思い切り牙で弾き飛ばされたのだった。
木に激突し、私の体力が削れる。私は起き上がると、ダイチが回復魔法を唱え私を回復したのだった。
「回復魔法? 使えんの?」
「はい。登録する際、サポートできればと思い僧侶を選択したので」
「なるほど。助かるぜ」
回復はゲームにおいて大事な役割だからな。
私とサンは近接だから、被弾も多くなる。被弾が多くなるってことはダメージもそれなりに負うことになる。
攻撃の手を止めないためにも、回復に割けるリソースがない。
「さて、と。どう攻略したものかね……。こいつボスクラスだろ」
「ですね。こんなのがたくさんいてほしくないです」
どこが弱点化をまず探りたい。




