プレイヤーキル
私の相手はオークで、ブンゴリ山の隣にある山、クオー山が主な生息地のようだ。
たしかにオークが数体いた。私は速攻を仕掛けオークを倒す。オークを無事倒すことができた。私は報告に戻ろうと振り返った時、どこかから少し気配を感じた。
私は一歩引くと、そこに矢が突き刺さる。
「へぇ……PKするつもりか……。そこだな」
私は隠れている方を見ると、そいつは顔を出した。
高校生くらいの顔立ちでオールバックの男。名前はウィリーといって名前の横に赤いばつ印がついている。
赤いばつ印はPKをした証で、買い物など制限されるものがある。基本的にはやらないほうがいい。
やる奴はそれこそ……。
「何のつもりでPKなんてしてんだよ。得ねぇだろ」
「お前さぁ、人を殺したいと思ったことはあるか?」
「あん?」
「俺はあるぜ。どういうふうに殺したら泣き叫ぶかとかよぉ〜、たまに考えんだ。でもさ? 現実だったら法律が邪魔してできねぇじゃん」
「だからやるってか……。変わってんな」
「普通だろ」
「お前が普通ならこの世は常識人しかいねえよ。で、テメェいくつだ」
「……14」
「まだガキじゃねえか。厨二ごっこはほどほどにしろよ、な!」
私は近くにあった石をぶん投げた。
ウィリーはそれを躱し弓矢を放ってくる。私は弓矢を掴みその辺に投げ捨てた。
「矢を掴んだ……!?」
「おい中坊、どうした!? 殺してえんだろ? それともその威勢だけか?」
「舐めやがって……!」
矢を連射してくるウィリー。
私は矢を躱し距離を詰める。そしてまずは一発顔面にぶち込んだのだった。
殴り飛ばされるウィリー。オークにぶつかって止まる。
私は追撃に向かった。
ウィリーは手をついて立ちあがろうとしていた。それを見計らい、私は蹴りをかます。
「ちょ、たんま……」
「喧嘩にタイムはねぇぞボケが!」
私は間髪入れず追撃を加えた。
フラフラとした足取りで立ち上がるウィリー。不良に憧れる中坊はごまんといる。悪いことがかっこいいって思う時期はあるよな。
「すいませ……ん……した……」
「声が小さくて聞こえねえな! 今なんて言ったんだ?」
「すいませんでした!!!」
ウィリーは頭を勢いよく下げた。
「おいおい、私も言動から分かる通り元ヤンだったんだぜ? ヤンキー気取りてえならわかるだろ。命乞いがどんだけ無意味か。さっきお前聞いたよな? 人を殺したい時はあるか……って話。あるよあるある。今まさにその気持ちだもん」
「ひっ……」
「PKの仕組みは簡単でよ〜。正当防衛……相手から手出ししてきたとAIが判断すりゃあ、ばつ印つかねえんだよなぁ〜」
お前はぬるすぎるんだよ。
戦意喪失とか関係ねえ。喧嘩ふっかけてきたんなら最後までやれよ。
ま、だが……。
「ま、この辺にしておいてやるよ。人殺すのは気分が悪いしな。よほどの事じゃねえ限りしねえよ」
「へ……?」
「とっとといけよ。もうやんなよ。次見かけたら今度こそやっからな」
私はそのまま冒険者ギルドに向かっていったのだった。
ったく、余計な時間とらせやがって。




