感謝
そんないざこざがあったので、なかなか引っ越しまでの段取りがとれなかった。
まず、学校には転校の意思は伝えたのでということで、次は私の職場の方との調整をすることにした。
同僚に、病院受診したことは話してあったので、自分の思い、引っ越しして治療をするつもりと話すと驚かれたが、納得もしてくれていた。
当時、施設で働いていたので施設長との面談を取り付ける話しになった。
どうやって、会うこと出来るのだろう?
なんて思っていたが、そこはなれている同僚が
「直接電話すれば良いんだよ。」
ということで、話したいことがあるということを伝えると、日程調整して早々に会うことが出来るようになった。
施設長のやり取りに関しては、私の記憶だけが頼りなので、間違っている部分や忘れている部分もあるが書いておこうと思う。
待ち合わせの場所、時間になりその場所に行くともう施設長は自分の手帳を広げ待っていた。
「お呼び出ししてすいません」
「遅い時間になって、ごめんね。なかなか時間がとれなくて。」
「いや、大丈夫です。」
「話ってなに?」
ということから、話が始まりました。最初同僚が事の経過を説明してくれていましたが、途中でその話を遮った施設長。
「私は、本人の口から聞きたい。」
ということで、重複する部分もあったが、話をきちんとすることになった。
「病気の状態があまり良くなくて、この前専門病院に行ってきました。
そこでは、治療が出来るという話でした。
いま、かなり病状が辛くて大変なんです。」
「そうよね、最初から病気があるからって言ってたよね。だから、早退や欠勤もいつしても良いよという話だったよね?」
「はい、そうです。でも、更に身体が辛くなってきて、正直仕事も出来ているのが奇跡な位なんです。」
「そこでですね、家族とも話し合いをして決めたんですが、そこで治療をするという決断をしました。その治療のために、引っ越しも考えているんです。」
「う~ん、そうか。色々頑張ってくれたから、辞めて欲しくはないんだけど。」
「すいません、退職手続きをとって欲しいんです。」
それから、無言の時間が流れていたと思う。
お互い、これからの事などを考えていたと思う。
「それで、いつまでとかって考えある?」
「なるべく早くに引っ越しを考えています。娘も中学3年で受験シーズンなので、あまり遅くなっても困るので。」
「そうか、そうだよね。」
といいつつ、手帳を確認した施設長。
「う~ん、今月中?」
「はい。」
「最後は手続きとかあるので、最後の何日かは休みにして欲しいんです。」
「そうか~。う~ん、でも、最大限まで来て欲しいのが希望なの。」
ということで、このやり取りを何回かして10月末の退職となり27日まで勤務ということになった。
最後にたしか、「頑張ってね」といわれた気もする。
そのあと、職場に帰り、上司に報告。
急ぎではあるけれど、今月末の退職ということで話が決まった。
それからは、引っ越し業者の相談と、引っ越し作業。
3週間でバタバタと引っ越しをしてきた。
娘の学校では、日曜参観もあったが欠席とし、クラスの人たちに伝えるのは引っ越し1週間前にして欲しいことの希望だけは伝えた。
そうして、引っ越し前日には学校での手続きを済ませ、引っ越しに。
この土地での生活は長かったので、寂しい気持ちもあったが、自分の身体を少しでも良くするためにという希望の方が大きかったかもしれない。
この時を振り返り、よくみんな快く送り出してくれたなぁと思う。
感謝の二文字しか出てこない。
この時、関わった人がこの話を読んでいることはないと思うが、この言葉を伝えたい。
【あの時は、ありがとう。いま、私がこうして生活していられるのは、あの時は快く送り出してくれたこと、背中を押してくれたからこそだよ。命を救って貰ったと今も感謝しているよ】
このときになって、ようやく引っ越しのことを振り返ることが出来たのはよかったかもしれない。
治療後もなかなか体調は良くないながらも、少しずつ動けるようになり、今まで通りの生活に近づけようと決意もすることが出来たのだから。




