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天界の瑠璃 外伝  作者: 上杉 真
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大曼荼羅世界

一日が終わり、誠は、静かな眠りに就いていた。夜半、誠は鮮やかなる夢を見た。そこは、金色に光り輝くような世界であった。律子が微笑む。「誠君、ここが私たちのいる世界なの。大曼荼羅世界っていうのよ。あなたがその世に戻るとき準備していた世界は、兜卒天とそつてんって言ってね、娑婆世界で仏となる大菩薩たちが下生の準備をしている世界なの。でも、この世界はその兜卒天よりもっと上の世界にあってね。数限りない仏さまたち、その仏さまたちに仕える菩薩さまや選ばれた天人・天女たちがいる世界なの。お釈迦様を中心とした世界、それが、大曼荼羅世界なのよ。あの有名な西方極楽浄土の阿弥陀さまや、東方浄瑠璃世界の薬師如来さまもよくこちらにお越しになるわ。お釈迦様が仰ってたわ。『かの弥勒、大聖者の至心なる懇請により、下生の機よりはるかに早く下生したゆえ、如来となるのは、かの娑婆世界では困難であろう。しかしながら、弥勒の使命は、より多くの生類をこの大曼荼羅世界に引摂(いんしょう)してくることにある。かの弥勒にそれができるか。否、かの弥勒、今や私の力を借りて、大衆の仏性を開顕し、明らかにする力を具えた。しかし、かの弥勒とて人の子、絶えなる精進をもってせずば、その大願、成就することは難しいであろう』ってね。誠君、でも無理しちゃ駄目よ。こんな事言ったら、お釈迦さまに怒られちゃうけど、あなたがどんなに至心に祈っても、親密な人は別にして、あなたのこと良く思っていない人も多いのよ。だから、がんばりすぎても、徒労に終わることも多いのよ。わかるわよね?『そうだな、律子、そんな人もいるかもしれないな。でもいいんだ。「仏は一切衆生を我が子と見る。」っていう言葉もあるだろう。それに、修行者たるべきもの、なろうとなるまいと、祈りと実践によって、歓喜世界を求め続て精進するのが道というものさ。それに僕には予感がしているんだ。この先、ある事をきっかけに、さらなる浄土世界がこの娑婆世界に広がっていくってね。それは、僕の力ではない。すべてみ仏の力によるもの。永遠なる仏国世界を常に目に見せることは僕にとっても難しいが、浄土経典にもあったな、「56億7千万、まことの信心得る人は、補処の弥勒と同じくて、大般涅槃だいはつねはんを悟るべし」ってね。まことの信心を得ることは難しいが、まことの信心を得ることが難しい人でも、僕に縁のある人、望む人とは、皆で律子のいるその世界を目指して行くつもりさ。』。そうなのね、わかったわ。誠君、私、あなたのこと、ちゃんとここで待ってるからね!!」。午前4時、誠は静かに眠りから醒めた。瞬時、誠は思った。「娑婆とは火宅なり。されども、円満な指導者を目指すべき者、常に大衆の為に尽くすべし」。そう思ったが、律子の夢も純真な恋心も「中道の真理」をついているように、誠には感じられた。ありがとう、律子。無理しすぎず、がんばるよ。厳冬、誠の新しい一日が始まった。



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