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8.トベラ~マンリョウ



 大岩鳥に攫われたミナモが、アカザネを用心棒にして帰りの旅路を歩みはじめてから、五日目。

 二人は街道沿いのトベラという町に立ち寄り、店に入って食事をしていた。

 しかしそこで、居合わせた他の客たちが「春祭りの日に『月の子』の行列が大岩鳥の襲撃を受けたようだ」と話しているのをたまたま耳にして、ミナモは食べていた雑穀粥に咽そうになった。


 ……もうその一件が、ここまで伝わってるのかあ。


 月天宮まではまだ距離があるのに、噂話というのは人の足よりもよほど速く移動することが出来るものなのだな、と感心してしまう。

 しかし人から人へと口伝えに広がる分、どこかで何かが加えられたり減らされたりするものなのか、彼らが話している内容は、ミナモの知るものとはかなり形が変わっているようだった。


「あたり一帯が木っ端微塵になって吹っ飛んだんだってなあ」

 いや。

「なんでも、大岩鳥に何人か食われたらしいぞ」

 いやいや。

「違うだろう、『月の子』たちが大岩鳥を捕まえて食ったと聞いたぜ」

 いやいやいや。


 食べながらさりげなく聞き耳を立てていたが、だいぶ独自の解釈がなされているらしい。

 その場にいた祭り見学の民衆や警護の中に負傷した人はいなかったのか知りたかったのに、この分では正確な情報はとても期待できなさそうだ。


 しかし、「月の子」が一人攫われた、ということは彼らの話の中にまったく出てこなかった。


「もしかして、わたしはもう死んだものだと思われてるのかな?」

 それで、捜索もされずに諦められてしまっている、とか?

 そんなにあっさり見切られてしまうのもちょっと複雑な気分だが、鳥に捕らわれあんなに空高く舞い上がったのをその目で見ては、そう思うのも無理はないかもしれない。

 口元に手を当て、こそっとアカザネに囁くと、同じく耳を澄まして話を聞いていた彼は、難しい顔で眉を寄せた。


「いや……たぶん月天宮は、『月の子』が一人行方不明であることを、誰にも知られたくないんだ。だからその部分に厳重な緘口令を敷いて、民が食いつきそうな適当な話をでっちあげて流布しているんだろう。そうすりゃかえって何が嘘で何が本当か判りにくくなる」


 小声で返されて、ミナモは匙を持っていた手を止め目を瞬いた。

「知られたくないって……どうして?」

 とっくに食べ終えたアカザネは、何か考え事をするように顎に手を当て口を曲げている。

「そりゃ、月天宮を離れた『月の子』を利用して、良からぬことを企むろくでなしがいるかもしれないから、と考えてるんだろ」

「アカザネは確かに守銭奴だけど、自分のことをろくでなしなんて言うのはよくないよ」

「誰が俺のことだと言った」

 耳を引っ張られた。

「俺は仕事を請け負っただけだ。だが、月天宮が危惧するのも判る。なにしろ『月の子』ってのは世間知らずの考えなしで、おまけに口が軽いやつばかりのようだからな。変なことに巻き込まれたくなきゃ、おまえも自分のことをぺらぺら他人に喋ったりするなよ、いいな?」

「わたしだって、これ以上変なことに巻き込まれたくないよ……」

 耳を手でさすりながら、ミナモは口を尖らせた。

 誰かに襲われそうになったり攫われそうになったりするのは、さすがにもう懲り懲りだ。汗衫を着ていただけで悪党に狙われるなら、確かに「月の子」だということは伏せておいたほうがいいのだろう。

 ふと、思いつく。


「あ、じゃあ、次から次へと大変な目に遭って、わたしってなんて不運だろうと思ってたけど、そうでもなかったんだね」

「何の話だ」

「だって、わたしが『月の子』だと明かしたのは唯一アカザネだけでしょ? それって、すごく運がよかったってことじゃない」


 以前は、自分が「月の子」であると堂々と名乗ることに、疑問を抱きもしなかった。

 しかし考えてみれば、それをした相手がアカザネでなく、他の誰かであったなら、今頃ミナモはここにこうしていなかっただろう。どんなことになっていたかは、正直あまり考えたくない。

 あの時、自分の前に現れたのがアカザネであったのは、ミナモにとってとても運の良いことだったのだ。


「アカザネと会えて、わたしは幸運だったよ」


 笑ってそう言うと、アカザネは少しの間黙り込んでミナモを見ていたが、すぐにふいっと目を逸らした。

「食ったな? もう行くぞ」

 と席を立ち、踵を返す。

 彼がどんな表情をしているのかは、ミナモからは見えない。

 せめて、怒ったような顔でないといいのだが。



          ***



 アカザネは相変わらず不愛想で口が悪く、何を考えているのかちっとも判らないことも多々あるが、五日も一緒にいるとその行動様式くらいは大体判ってくる。

 水分をとるのは喉が渇いた時ではなく、彼の基準で決められているらしい距離を進んだ時、だとか。

 急に街道を離れるのは、雨が降りそうなのを匂いで嗅ぎつけて、濡れずに済む場所を確保するため、だとか。

 必ず日が暮れる前にはどこかの町に入って宿を見つけ、ミナモをそこに放り込み、自分はそのままどこかに消えて朝まで姿を現さない──だとか。

 特に最後のが、ミナモには今ひとつ解せないでいる。アカザネはどうしてそうも頑なに自分だけ外で寝ることにこだわるのだろう。食事はミナモと共にしてくれるようになったのだが、夜間はいつも別で、彼が暗闇の中をどこでどう過ごしているのかはさっぱりだ。

 というわけで、


「アカザネ、今夜は二人で一緒に宿に泊まろうよ」


 次の町に向かう道中、そう誘いをかけてみたら、アカザネはピタリと足を止め、こちらを向いて盛大に顔をしかめた。

「……おまえそれ意味わかってて言ってんのか」

「ん? わかってるよ? アカザネは人の気配があるところで眠りたくないんでしょ? エンレイの宿の女の人が言ってたもん、人馴れしない動物と同じだって。だからわたし、自分の布団の中でなるべく息を潜めてじっとしてるから。アカザネの部屋にまで遊びに行ったりしないから」

「…………」

 アカザネは無言でミナモの耳を引っ張った。なぜかいつもよりも力が強い。いたたた! と騒いでも、なかなか手を離してくれなかった。

 何がそんなに気に食わないのか。そこまで宿が嫌なのか。どうも彼の考えることはよく判らない。五日も一緒にいるのに。

「アカザネって難しいよね……」

「おまえが阿呆なんだ。いいか、そういうことを他の誰かに言うなよ」

「他の誰かって?」

「だから、他のおと──」

 言いかけた言葉を、むっとした顔でまた呑み込んでしまう。音? とミナモは首を傾げて待ったが、その続きを口にしてくれることはなかった。

 くるりと勢いよくまた前を向いて、アカザネが再び歩き出す。最近はかなり速度が抑え気味になっていたのに、はじめの頃のように後ろを顧みないすたすたとした足取りだった。ミナモが早足にならないと追いつけない。変だな、この頃はゆっくり歩いても離されることはなくなっていたのに。

「待ってよ、アカザネ!」

 慌てて駆けて、アカザネの袖を捉えようと手を伸ばしたが、あるものに気づいてそのまま止まった。


 ──街道から外れた場所で、中年の男女が悄然と肩を落としてしゃがみ込んでいる。


 二人は倒木の上に並んで腰掛けていた。どちらも疲れたような顔で身を寄せ合い、口を開かず身動きもしない。休憩しているというよりは、動いたり話したりするような気力もない、という感じに見えた。

 虚ろな表情は放心したように空中に向けられたまま、茫洋とした視線がただ前方に据えられている。何かを見ているわけではなく、ものを考えること自体を放棄してしまっているようだった。

 そして二人とも、髪はぼさぼさで、着物も裾が乱れている。どこかから走ってきた──いや、逃げてきた、のだろうか?

 ミナモは一瞬躊躇してから、意を決して身体の向きを変え、そちらに向かっていった。

 立ち止まったアカザネが眉を上げたのが視界の端に引っかかる。その目が「関わるな」と制止しているのは判ったが、どうしても放っておけなかった。


「……あの、どうかしたんですか?」


 二人の前で膝を折り、目線を合わせて問いかける。

 ぼうっとしていた彼らは最初、ミナモが近寄ったことも認識していないようだったが、声をかけられてようやく、びくっと肩を揺らした。

 のろのろと顔を上げる。自分たちの前にいるのがいかにも非力な娘であることに、二人とも、安堵するような、そして失望するような顔になった。


「ああ、なんでも……なんでもないんだよ」

 男性が暗い声で応じて、目を伏せる。その返答で女性が少し感情を取り戻したらしく、喉に何かを詰まらせるような音を立てて涙ぐんだ。

 男性がそちらをちらっと見て、大きな息を吐き出す。

「おれたちは向こうの……マンリョウって町のもんなんだがね」

 男性は振り返りもせずに親指で後方を示した。

「明け方ごろ、いきなり町に野盗が攻め込んできてな」

「野盗……」

 ミナモはゴマナの町で聞いた、最近このあたりを野盗がうろつきまわっている、という話を思い出した。


 貧しさで首の廻らなくなったような連中が徒党を組んで人を襲い、金品を奪っていくだけでなく、場合によっては人殺しをすることもある──と、そう言っていたはずだ。


「野盗は人でなく町そのものを襲うこともあるんですか」

「ああ、特に強欲で凶暴なやつらはね。そうやって町を荒らして、住人を脅したり傷つけたりして、家から有り金をごっそり奪っていくんだよ。手に負えないようなのだと、あっちこっちに火を点けて廻ったりするもんだから、どうしようもない。あちらは馬の上、しかも刀まで持っているんだ、抵抗すれば殺されて終わりさ」

「ひどいことを……」

 ミナモは呟いて顔を曇らせ、胸のあたりでぎゅっと拳を握った。


 そこまで人々の心は追い詰められ、荒んでいるということか──


「それで、ここまで逃げてきたんですか。他の人たちは」

「みーんな、町を出て散り散りになっていったよ。野盗連中が出て行ったのを見計らって、また戻ってくるだろう。……もっとも、その時にはもう、家の中の蓄えはすべて掠め取られた後だろうがね。下手をすれば、家だって残ってるかどうか」

 捨て鉢な口調で言って、男性が鼻で笑う。しかしその表情は苦悶に満ちていた。それはそうだろう、今まで大事に守ってきたものが、野盗の手によって何もかも破壊されるというのでは。

 これから生活を立て直していくのも、きっと大変な苦労が要る。


 不運だった、の一言で済ませていい話ではない。


 女性が我慢できなくなったように、声を上げて咽び泣いた。

「あ……あんまりだよ、こんなの。あたしたちが一体、何をしたっていうのさ。今までずっと真面目に働いて、なんとか暮らしてきたってのに。カヤにだって新しい着物を買ってやるつもりだったのに、これじゃもう──」

「カヤ?」

 ミナモが訊ねると、首を深く垂らしていた二人が揃って顔を上げた。


「あたしらの娘だよ。ほら、そこに」

 と後ろを振り返った女性が、言葉を止め、動きも止める。

 男性も首を捻じ曲げ、同じように絶句した。


「なんてこった……おい、カヤはどうした?」

「そんな、今まで、ついさっきまで、近くにいたはずなのに! あの子一体、どこへ」

 周章狼狽してがばっと立ち上がり、慌ててきょろきょろと周囲を見回す。

 ミナモも立って探してみたが、そのあたりに子どもの姿はどこにも見えない。

 はっとして、女性が口に手を当てた。

「もしかしてあの子、町に戻ったんじゃ」

「バカな。まだ野盗が残ってるかもしれないってのに!」

「だってあんた、カヤはずっとスイのことを気にしてたじゃないか。連れていくって駄々をこねるのを、あんたが叱り飛ばすから」

「しょうがねえだろう! 急いでたんだ、仔犬なんて探している暇があるもんか!」

 どちらもまともな精神状態ではないのだろう、二人は激しい剣幕で言い争った。

 彼らの間に、ミナモが割って入る。


「落ち着いて。カヤちゃんという女の子が、マンリョウの町に戻ってしまったかもしれないんですね? 置いてきた仔犬を一緒に連れてくるために」


 女性ががくがくと首を振って頷いた。

「そ、そうだよ。あの子が可愛がってた犬なんだ。ああどうしよう、すぐに追いかけないと」

「あの」

 半狂乱になって頭を掻きむしる女性に向かって、ミナモは声をかけた。

 いつの間にかすぐ隣にはアカザネが来ていて、大変な仏頂面をしている。

 そちらを横目で窺ってから、もう一度口を開いた。


「わたしたちが、カヤちゃんを探して連れてきます」


 ミナモの言葉に、夫婦はぽかんとした顔になった。隣から低い唸り声が聞こえたが、それはこの際耳を素通りだ。

「あ、あんたらが?」

「はい」

「なんで、そんなこと」

「なんで……と言われても困るんですけど」

 ミナモは本当に困ってしまって首を傾けた。その曖昧な態度にいきなり警戒心が芽生えたらしい男性が、猜疑心に満ちた目をこちらに向けてくる。

「そんな親切ごかしに近づいて、何の目的があるってんだい。娘を探す代わりに、見返りを寄越せっていうつもりか?」

「当たり前だ、金──」

「いえっ、あの、そんなことは言いません、決して!」

 アカザネが突き出そうとした手の平を急いで下げさせ、ミナモは慌てて言った。不満げに開こうとした彼の口も押さえて黙らせる。


「ここにいるアカザネは、とっても優しくて頼りになって、誰よりも強い人なんです! その上、無償で人助けをするのが大好きで!」


 アカザネの険しい目がミナモを睨みつけている。

 夫婦は二人とも少し呆気にとられたような顔をしていたが、やがて互いに顔を見合わせ、再びおずおずとこちらに向き直った。

「……ほ、本当に? 先に行って見て来てくれる? 頼んでもいいのかい? あたしたち、ここに来るまでにずっと走ってきたものだから、もう体力がほとんど残っていなくて、この分じゃマンリョウまでどれくらいかかるかわからないんだ。でも、こうしている間にカヤが危ない目に遭ってるんじゃないかと思うと、生きた心地もしない。必ず、後で追いつくから」

「はい!」

 ミナモは元気よく返事をして、「行こう、アカザネ!」とアカザネの手を引っ張り、マンリョウの町に向かって走り出した。



          ***



 当然ながら、アカザネは非常に怖い顔をしていた。

「その顔、怒ったように見えるよ、アカザネ……」

「今は本当に怒ってるからな」

「あ、やっぱり……」

 走りながら、ミナモは首を竦めた。

「ごめんね。アカザネは気が進まないだろうなとは思ったんだけど」

「気が進まないどころの話じゃない。おまえ、月天宮に戻ると決めたんじゃなかったのか。変なことに巻き込まれたくないと言っておきながら自分のほうから厄介事に首を突っ込んでどうする。こんなに寄り道ばかりしていたらいつまで経っても到着できないぞ。大体、自分は何も出来ないのに他人に慈悲を振り撒くとはいいご身分だな。野盗がいたらおまえなんて寄ってたかって嬲りものにされるかもしれない。それともおまえやっぱり自ら好んで痛い目を見たいという変態か。なんで俺がこんな一銭にもならない仕事をしなきゃならないんだ」

 走っているのに、息も乱さず立て板に水のごとくアカザネは文句を言い続けた。最後の点が最も気に食わないと見えて、いちばん憤懣が込められている。


「ごめん」

 ミナモは呼吸を弾ませて、もう一度謝った。


 自分が何も出来ないというのは、よく判っているつもりだ。アカザネに守られている立場でありながら、他人に手を伸ばす資格などないということも。

 今だってミナモは一人で行動することは出来ず、アカザネを巻き込んで、彼の力を必要としている。

 身勝手で、傲慢だ。恵まれた環境にいたから危険に対する認識が甘いのだとアカザネが腹を立てるのは当然だと思う。アカザネが予想し、そのために怒っているのであろう事柄が、そしてその姿が、ミナモにはほとんど何も見えてはいない。

 ──でも、だからこそ。


「だからこそわたしは、見ておかなきゃいけないんだと思う。月天宮に戻ったら、もう自由に外に出ることは叶わない。こんな風に外の世界を見て廻れるのは、今のうちしかない。だからこそ、出来るだけたくさんのものを見て、いろんなことを知っておきたいの」


 たとえそれが、綺麗なものばかりではなくとも。


 前を向いたまま、足を止めずにそう言うと、アカザネは口を閉じた。

 沈黙を挟んでから、低い声で短く告げる。

「……先に行って様子を見てくる。マンリョウはこの方角をまっすぐだ。逸れることなく後から来い」

 言い終えた途端に、一気にぐんと速度が増した。あっという間に背中が小さくなる。

 あれが本来のアカザネの動きなのだろう。まるで風のように速い。やっぱり普段はミナモに合わせてくれていたのだ。

「ありがとう、アカザネ!」

 ミナモの声は、果たして彼に届いただろうか。



 ──必死に足を動かしながら、考える。

 マンリョウは首都へと通じる街道から離れている分、小さくて目立たない町なのだろう。だからきっと、野盗にも狙われた。

 でも、おかしくないだろうか。旅路を進み、もう首都はそう遠くない。月天宮やセイラン国王宮は国の中枢、普通に考えれば、その場所に距離が縮まれば縮まるほど、賑やかに栄えていきそうなものだ。外の世界のことを知らないミナモでさえ、そう思う。

 なのに街道沿いにある町ですらどこも豊かであるとは言い難く、進むにつれて人々の顔が明るくなっているわけでもなかった。少しずつ月天宮に近づいても、あまり景色が変わらない。

 町を襲うような野盗が出没しても、どこからも救いの手が差し伸べられず、住人たちはただ逃げるしかないなんて。

 首都の周辺でこうなら、国のはずれの地域はどれほど──と考えずにいられない。

 窮乏が取り繕いようもなく全体に広がっている。これが、セイラン国の現状なのだ。


 スオウは、このことを知っていたのだろうか。


 彼は王弟だ。そして、決して暗愚ではない。もちろんこの程度のことは把握して、きちんと理解しているだろう。

 だったらなぜ、彼は「月の子」に、何も教えようとしなかったのか。

 この国の現実を、人々の生活の実態を、誰より知っておかなければならないのは、自分たち「月の子」だ。月の神さまから授かった力は、どんどん歪になっていく世界を少しでも正常な状態に戻すためのもののはず。

 その力を、月天宮の中だけに閉じ込めていたら意味がない。

「月の子」こそ、もっと外に目を向けなければいけないのに、彼はその目と耳を塞ごうとしている。そうとしか思えない。


 ……どうして?





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