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第5話 ネタ百個

本当のお笑い芸人さんを尊敬します。

第5話 ~ネタ百個~

次の日、昼前ごろに千陽子が梅田プロの事務所に出勤してきた

既にエージは事務所に顔を出してきていた。


「外、めっちゃあっついわー!ほんま溶けてまうでー!ん?何やエージ、来とったんか、早いやないか?」

「うん、昨日は千陽子さんにハッパかけられたから、頑張りました。」

「お、ギャグ百連発、出来たんか?」

「ええ、とりあえず、ネタ百個。」

「ほお、ええやないか、それが出来るんやったら、最初から苦労はせんけどな。どれや、見せてみいや!」

と言って、千陽子はエージからネタやギャグを書いたノートを見せてもらう。

「えーっとどれどれ…『魔法の杖がツエー!』って何やこれ?、えっ?これ、ギャグやないよな?こんなショボいもの、今時の子供でも笑わんで!いきなり最初からこんなんか?先行き思いやられるで!確かに何でもエエからとは言うたが、こんなショボいんどこで使うんや?」

千陽子はいきなりダメ出しを連発する。


「で、次がコントの表題か、えっと、『花粉症の魔物が、森の中で同じく花粉症の勇者と出会い、お互いに森の中の杉の花粉でアナフィラキシーショック死する話』って何なんやこれは?お互い死ぬって、カオス過ぎるやないか?次は『玄関開けたら3分で召還!』なんや、どこかのCMのパクりとちゃうんか!んで次は?『田舎の木工細工屋の木槌が驚異の落札用ハンマーだった。勇者の剣を銅貨1枚で売り(さば)いた伝説のチートハンマーを持つ競売人ジャック、合言葉はプライスレス!』

ってこんなタイトル、ライトノベルでも使わへんわ!プライスレスって、競売人が主人公やのに無料(タダ)はアカンやろ!!…でノートのここの辺りは一応コントの表題かなんかか?」

『うん、親父ギャグもあれば、コントの表題もあるし、とりあえず考えるだけ考えた。他のページもあるから、見るだけ見てよ。』

エージがニコニコしながら千陽子に言う。


「えーっ!まだあるんかいな、これ全部見なアカンって…これは何かの罰ゲームかいな?」

千陽子が眉を寄せる。

「違うって!千陽子さんがネタ百個作れって言うたから作ったんやから、責任持って、全部見てな!」

「くわっ!」

千陽子の顔がひきつる。


「くっ、くそっ!調子に乗ってあんなこと言うんじゃなかったわ!」

と千陽子は愚痴をこぼしながら、仕方なくエージの書いてきた『ネタ』を読んでいく。

とりあえず、大体が、コントの表題が中心となっていて、その横に、コントの内容が少しだけ書かれている。

恐らくは、とりあえず面白そうな表題を作ってから、内容を考えようという方法に方向転換したようだ。


「えーと『異世界のゴミ屋敷はチートなゴミで一杯でした。/奉公先でのゴミ処理でチートな能力開花、ダメ冥途(メイド)とは呼ばせない!』って意味不明やし、ダメメイドって『冥途』と『メイド』を掛けとるんかい!それやったら『ダメイド』でええやん!って、めっちゃ疲れてきたわ、とりあえず次が最後な、『スペースダンジョン、真空の壁は全てを拒絶する。そこには誰も辿り着かない。』……あのな、大体、異世界は中世の生活文明をベースにしてるのに、宇宙空間にあるスペースダンジョンて、科学も発達してないし、誰も大気圏に飛ばれへんし、確かに宇宙空間で息もでけへんから、そら辿り着かへんわ!エージ!お前、中々、頭()いとるな!もう、ええ加減にせえ!あっ…最後のツッコミやってもた。」

千陽子がコントのネタ風に終わらせてしまった。


「くっくっくっくっ、あーはっはっはっはっ!」

突然、マサやんが笑い出した。

「どないしたんや?マサやん?どこかで頭打ったんか?」

とりあえず千陽子は突っ込む。

「はははは。ネタが面白いと言うよりも、エージ君が作ってきたネタに千陽子ちゃんがダメ出しで突っ込むところが面白すぎて、あー腹が痛い。」

マサやんが笑いすぎて頭を机に突っ伏している。

「うーん、マサやんの笑いのツボがようわからんわ。とにかく、前半は見たから、後半は休憩した後や!」

「休憩て、千陽子ちゃん、さっき事務所来たところやん?」

とマサやんが突っ込む。

「ええねん、エージの菌に感染せんように、時々、外に出て除菌せなアカンねん。」

「僕はバイ菌ですか?」

エージが突っ込む。

「バイ菌とちゃう、バイオハザードや!」

「死人が生き返りますやん!」

「それくらい、感染力が強力やちゅうことや!」

「誉め言葉と受け取っときます。」

「ああ、そないしとき。ワイは空気吸ってくる。」

そう言うと千陽子は事務所を出ていった。


「あー千陽子さんにダメ出しを連発されたー!」

とエージが事務所のソファーにもたれ込む。

「いや、エージ君、あれは中々千陽子ちゃんは気に入ってたと思うで。」

「ホンマですか?」

「最後に、『ええ加減にせえ!』とか『何でやねん』が入ってきたんは気に入っとる証拠や、でないと何も言わへんし、下手したらノートが刃物のような感じで壁に突き刺さるで!」

「なるほど、そう言えばそうですね、と言うことは、まだ望みはあるってことですね。」

マサやんに励まされてエージは拳を握り小さくガッツポーズをする。


一方、千陽子のほうは、いつもの公園のベンチでいつもの缶コーヒーを飲んでいた。

「くっ、くっ、くっ、まさかエージの奴、ホントにネタ百個作ってくるとは思わんかったわ、それに、マサやんのあの笑い…、ノートが進む度に、エージのエエ部分が出てきとるわ、後半が楽しみやな。」

やはりマサやんの思った通り千陽子はエージのネタを気に入っていた。

だが、それは全ての人間が気に入るというものではないのはわかっていた。

だが、一人の人間でも笑わせることができればそのネタには、必ず笑いのツボ、スイッチがあるということなのだ。

マサやんの言うとおり、エージのコントの表題自体は不安要素がいっぱいであったが、逆にそれに対してツッコミを入れると言うことに千陽子は気付いた。

エージの作った表題自体が『ボケ』と化して、千陽子のツッコミを受け入れるという二人の新たなスタイルを千陽子は考えていた。

「これはいける、ホンマにおもろないネタは、封印していけそうなヤツをピックアップするか。」

そう呟くと、千陽子は缶コーヒーをいつものように握り潰して、10mほど離れたゴミ箱に投げつける。

握り潰された缶コーヒーの缶は、物凄い勢いでゴミ箱のヘリにぶつかり跳ね上がった後で、ゴミ箱の中へ落ちていった。

「よっしゃ!」

千陽子は拳を握り、肘を引くような格好でガッツポーズをする。


千陽子が公園を出ようとしたときに、携帯から『パワ○ホール』が鳴る。

「はい、千陽子!お、なんや、香か、えっ氷神の家わかったって?うん、わかった、そしたら夕方にまた連絡するわ、はい、じゃあな。」

千陽子が電話を切る。


「全部、上手く行きよるわ。」

千陽子はニヤリと笑いながら公園を出た。








百連発はいろんな意味で危険です。

不定期ですが、何とか続けていきますので、閲覧よろしくお願いします。

ヽ(*´∀`*)ノ

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