後悔
『ピラミッドの地中から、ミイラが大量に発掘されました!!!』
テレビでエジプトで発掘された30体のミイラを囲む様子が放送されている。
…ああ、見つかっちまった、見つかっちまったよ!!
俺の本体が全世界に晒されてるよ!!!
俺はテレビのニュースを見ながら、頭を抱えた。
あれははるか3000年前。
今のエジプトにまだ泉があった時代。
俺は秘術を受けたのさ。
記憶をつなぐ秘術。
人は死して記憶を継ぐことはないけれど、継ぐ秘術はあったのさ。
秘術を受けるには条件があって、俺は見事にそれをクリアし。
記憶を継ぎ継ぎここにいる。
泉なき現代で、記憶を継ぐ秘術は使えない。
泉なき現代で、礎の記憶を残したミイラを守るすべがない。
記憶を継ぎ始めた一代目の体に秘術は施される。
あのミイラは、現代人の知らない秘術の礎。
あのミイラに刻まれた秘術が綻んだ瞬間、俺の中の継がれた記憶が消え去る。
泉の痕跡にまるで気が付いていない現代人には、おそらく秘術の仕組みを知り得る機会は訪れないはず。
昔はさ、ミイラが薬になってた時代があったのさ。
それでずいぶん、仲間が記憶をなくしたんだけれど。
最近はミイラを保存する方向で話が進んでいるからさ。
まあ、そんなに心配はしてないんだけどさ。
正直、俺の姿がばっちり世界に知れ渡ったのが恥ずかしいんだよ!!!
あんまいい施術じゃなかったからさ!!呪布もダサいし汚いし!!!
あれ記憶継いでるやつが見たら絶対pgrするやつだよ!!!
う、うわぁあああああああ!!!
地中なんて選ぶんじゃなかった!!
多少高くてもピラミッドのほうにしとけばよかった!!
3000年前のケチりっぷりを、ここで後悔しているやつが一人。
…俺だよっ!!!
あーあ、いまだ会えてない俺の愛するラー、見てて笑ってたりしてねえよな…。
せめて今のこの姿くらいはかっこ良くしておかねばなるまい。
俺は大きなため息をひとつついて、美容院へと向かった。
こちらゆくゆく長編書きたいやーつ。