チングロモント(上)(アプリ坊主外伝6
さて、ここに【チングロモント】という言葉がある。別に栄養ドリンクとかの話では無く、アプリ坊主の話なのだが本編の余談となる話であり、友人に『どうだろうか?』と相談した所
「おまえの余談は本当に余談だからな」
「…っていうか余談すぎるだろ」
という賛辞の言葉を貰ったので、余談として本編外に掲載するに至りました。それでは始めます
有史以来股間と共に人に在り、様々な願望を叶えてきたTENGOだが、その形状は十人十色。使用目的や地域によって大きな隔たりがあった。
【TENGOとは?】
かいつまんで説明すると下腹部に装着してピアノを弾いたり、すごい勢いで回転させて空を飛んだり、テレビのリモコンを押したり、先端からオーラを射出したりと、万能な道具である。
不思議と人々の願望を叶える力を持っている事から、古来より
「無くてはならない大切な物」
として扱われてきた。
例えばそう、蚊取り式のTENGOもそのひとつだ
【蚊取り式のTENGO】
蚊の最も古い化石は1億7000万年前の地層から発見されている。
それにくらべて、我々人類はせいぜい8000万かそこら前に進化や分岐を始めたに過ぎない。
言うなればその昆虫とは人類発祥から現在に至るまで、吸うか引っ叩かれるかの攻防を繰り返してきたのだ。
「なんすかこれ?吸われてるんすけど?」
「かゆい、つか、かゆいんすけど~?」
「超かゆい、やべ、かゆ~~!」
鎌倉時代の 天降り坊主の門徒がそんな言葉遣いだったかは知らないが、当時【天護】(TENGOは 雲天堂による当て字)
と呼ばれていた物に、その人物は【蚊取り】を祈願した。
「取れるんすけど~!」
「超取れるぅ~~!」
自室に蚊が迷い込む度に、門徒の股間に装着されている天護が反応し迅速に対応する
「ホワァァァ!!!」
「(パシッ!!)」
「はワァァァ!!?」
「(パシッ!!)」
「ぶくぶくぶく(白目)」
「(パシッ!!)」
常人の反射速度ではとてもではないが間に合わないタイミングで天護は門徒ごと飛翔し、蚊という蚊をすべからく叩き落とした。
一方で、九州や沖縄地方の山林地帯等、一匹一匹叩き落していてはとても間に合わない地域では、虫取りアミ式の天護が効力を発揮した。
熱でリキッドをあぶって中の薬品を気化させるタイプの天護もあるにはあったが
『見た目が面白くない』
『インスタ映えが悪い』
等のよく解らない理由であまり国民には浸透しなかったようだ
そんな中、ある時一人の門徒が蚊取り名人として将軍様の御膳に招かれ、その巧みさを披露する事となった
『そなたの腕前、いや、股前の噂は聞き及んでおるぞ』
『ここに三千匹の蚊を捕らえてある。これを今から解き放つ』
『残さず見事に討ち果たせたのなら、思うがままの恩賞をとらせようぞ』
「マジっすか?マジ思うがままっスか?」
『ああマジだとも』
「ううわ、スゲ!!」
「じゃ、じゃ、じゃあアレっすか?」
「天護びんびんになるやついいっすか?」
「…びんびん…フォア…?」
「グラ?」
『ガチョウかな?』
『…いや、バイだろ』
「まじっすか?将軍様バイなんすか!?」
『…いや、そうじゃなくて…』
「やべマジウケるぅー!!」
「ぷゲラッチョ~~!」
『…もうよい』
『誰かガチョウを大量に捕まえて参れ』
なにかを諦めた将軍
『時に門徒よ。そなたの天護はずいぶんと黒ずんでおるようだが』
『それはいかなる理由か?』
「えっ?これすか?」
「ええと…」
「ムウだかメラだかのミンとかと…」
「…あれぇ?ニンだったっけマジ?」
「関係してるってネットに書いてあったんすけど?」
「黒いっすか?そんな黒いっすか?」
『ああ黒いとも。どす黒いとも』
『黒光りしているとも』
『だが、そのような異国の谷の住民達が関係しているのであれば』
『そのキレのあるブラックもうなずける』
「無糖っすか?ブラックって無糖っすか?」
『ああ、無双だとも』
『…それは珍黒だな』
『珍黒門徒だな』
「マジすか?」
「やべ、俺、栄養足りてる系~~!!」
しばらくの間、このように非常に噛み合った会話が成され、いよいよ蚊が解き放たれる事になったのである。
なにやら想定していたよりも長くなってしまったので、分割します