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出航 1話
僕は、夢を見ている。
だって、船長が目の前にいる。豪華な椅子に腰掛けてラム酒を傾けている。
僕は、絨毯のうえに座って本を読んでいる。
時折、船長を見上げると、どうした?何か分からないところがあるのか?と聞いてくれる。
温かで優しい思い出。
海賊達は、船長のラム酒のおかわりを持ってくるついでに、僕にココアをいれてくれた。
あんまり、甘くなかったけど。今でも一番美味しいココアだと思う。
僕は、本に目を落とす。
船長が絶対に読んでおけと言っていた。
東洋の難しい本で、神様同士の戦いの話だった。
船長は、なんでこの本を読ませたんだろう。今でも不思議だ。
でも、読み終わったときの船長の真剣な眼差しが忘れられない。
そして、よくやった。って褒めてくれた。
忘れられない。