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冷たい玉座 10話
目の前に星が舞っている。
まるで棍棒で殴られたみたいだ。
僕は、気絶をしていたようだ。
気がつくと、息子のフックが正座している。
しかも、空中で。
シュールだと思って笑った。
フックの顔に恐怖が増した。
なぜだ?
僕は、どうしたんだ?
あれ?
空なのに横になっている。
妖精の粉のせいか・・・。
あれ?
顔にかかっているのは髪か?
あれ?
頭の下にあるのはなんだ?
おそるおそる目を開けて周りを確認する。
「あら、あなた、起きた?」
聴こえない。聞こえない。
妻は、変わらず綺麗だ。
少し老けたようだが、それも魅力的だ。
髪が伸びたね。
ほとんど地面につきそうだ。
かわいいよ。
・・・。
なんで、ここにいる。
なんで、浮いていられるんだ?
疑問は無しだ。気にしたらダメだと心の全ての警鐘が鳴っている。
愛する妻は、どうやってかネバーランドに入り込んで、僕たちの前にいる。
そして、めがっさ怒っている。
それだけは確かだ。
「いつまで寝てるの?」
僕は、飛び起きてフックの横に正座した。
シュールだ。
笑えない。