冷たい玉座 6話
どういうつもりだ?」
「どうもこうもないよ」
「僕は、お前を連れ戻しに来たんだぞ?」
「パパはよく言っていたよね。お前の人生はお前の物だ。信じた道を往けば良いって」
「ママが悲しむぞ」
「パパは、どうなの?」
「悲しいよ」
「どうして?」
「仇に味方するなんて」
「パパは、僕の事なんてどうてもいいんだね」
「そんなことは」
「だって、僕より彼が気になるんでしょう?復讐がしたいんでしょう?」
「復讐が無意味だと船長が教えてくれた。そうか、謝るべきは僕だな」
宙に浮かぶ息子に非礼を詫びた。
「父親は息子を小さくみすぎるな」
「息子は父親を大きくみたがる」
僕たちは笑い合う。
「パパは、大人だから飛べないし僕に勝ち目はない。だから、戻って。ママと幸せに暮らして・・・」
「僕は、お前を連れて帰ると約束したし、僕もそのつもりだ。そして、大人だけどチャイルドだった僕を見くびるなよ?」
僕はポケットから小さな箱を取り出した。
中にはキラキラとした粉が入っている。
そう、ウィンガーベルが船の中でベッドにしていた物だ。
僕は、粉を頭からかぶると、一直線に飛び上がった。
「パパ、すごい」
「そりゃ、お前の親だからな。手加減はしないぞ」