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冷たい玉座 5話
白い御影石。
矛盾を内包しているような玉座。
彼は、そこに座っている。
鬱蒼とした森の中。
少し開けた森の中。
玉座に座るは孤独の王。
僕は、剣を抜き斬りかかる。
王は微動だにしない。
キン!
綺麗な金属音がした。
反射的に鈎爪を横薙ぎに振るう。
キン!
綺麗な金属音がした。
僕の剣も鈎爪も王様の5cm手前で止まっている。
ギリギリと音を立て、小さなナイフが止めている。
王様と僕の間に息子がいる。
両手のナイフで剣と鈎爪を受け止めて。
僕は、ネバーランドに来て始めて動揺した。
僕の息子は、緑の服に赤い羽のはね帽子。
生意気そうな顔に・・・。
なにより浮いている。
そう、まるで、王様のように。