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冷たい玉座 4話
「警告は一回だ。僕たちを大人しく通せ」
なに、この人間。
えらそうに。
散々な悪態が返ってきた。
警告はしたぞ?
「俺は実は、妖精なんか信じていない。これもピーターパンのトリックだろう?」
ピシッと空間に亀裂が走るかと思う程に重い空気が流れた。
「妖精なんかこの世にいない」
言葉と共に全てが石になった。
草花も、そして姿を隠していた妖精もゴトゴトと音を立てて石になって行く。
仲間も宙から解放されて尻餅をついた。
「さぁ、いこう。長いは無用だ」
「船長・・・泣いているんですか?」
「いいや、スメー、泣いていないよ。悲しくない。悔しいだけさ」
僕は、振り返らずにその場を後にした。
そして、丸一日休まず森を歩いて抜けた。
誰にも邪魔されず、誰にも語りかけず、誰にも話しかけられずに。
そして、僕の前には光の柱が立っている。