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ピーターパン 3話
意外と言うべきか、当たり前の事がそこにあった。
僕らの子供達は、窮屈な現実より冒険に満ちたこの国と王様に魅せられていた。
僕らの子供達は死や生きる事の意味を知るには幼すぎた。
王様は、僕に撃ち抜かれた肩を隠して元気に振る舞っている。
実は治ってしまっているのかもしれない。
「船長、このままじゃ子供達は・・・」
「悲嘆にくれるな。ここでは楽しんだ者が勝つ。だけどね、それだけじゃ僕らには勝てない。それを見せてあげるのさ」
船長か。
ねぇ、僕の船長。
僕は、やっぱり変わったロストチャイルドなのかな。
でもね、ロストチャイルドとしては変わっていても船長達のチャイルドである自分は誇らしいよ。
合図を送ると海賊が広場を囲む。
ロストチャイルドを囲む。
王様を中心に。
「かかれ!」
王様の無謀な突撃に子供達は呼応する。
さびたナイフにこん棒に。粗末な武具を身につけて。
いつものごっこ遊びのように死地へ飛び込んでしまう。
鮮血が飛び散る。
「ち、血だー!」
ロストチャイルドの一人が尻餅をつく。
ゴトっと大仰な音と真っ赤な色が世界を染めた。