邂逅 5話
パン
「え?」
王様の肩から血が噴き出す。
「次は外さないぞ。僕をいままでの海賊と一緒にするなよ?」
「フック!?ワニに食べられたはずじゃ・・・」
「ああ、船長はワニに食べられた。だけど、お前に倒された訳でも殺された訳でもない。そうだ、挨拶が遅れたね。ひさしぶりピーターパン。僕らの子供達を返してもらいにきたよ」
僕は、銃をおろした
ピーターパンは肩を押さえて苦い顔をしている。
「もちろん、君は殺したい程に憎いよ?でも、愛する子供の方が大事だからね。君は、可哀想に誰にも愛されず、帰る家も無く、孤独に永遠をさまようんだ」
「悪者め!」
ピーターパンが飛んでくる。
グサリ
ピーターパンのナイフが腹に刺さる。
「へへ、やった。やってやったぞ」
「なにをだい?それより早く傷の手当をした方がいいんじゃないか?」
ぎょっとしてピーターパンが僕を見上げる。
そのまま、島へ飛んで行った。
「船長、大丈夫ですか?」
「ああ、防弾チョッキというのは便利だな」
「さすがの王様も驚いていましたね」
「おとぎ話は科学の進歩の前に跪くのさ」
「さぁ、手はず通りに」
傷を負った王様は幾つかある地下の家に戻るはずだ。
あらかじめ島に待機させた仲間に場所を特定させてチャイルドが集まったら連れて逃げる算段だ。